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2018年2月4日(日)

民生技術の軍事転用 調査委託で軍産学融合

政策研究院が落札

責任者は内閣府参与 前装備庁長官も関与

 防衛装備庁が昨年7月に入札にかけた民生技術の軍事転用に向けた調査役務を、国立大学の政策研究大学院大学(政策研究院)が落札し、調査を進めていることが本紙の取材で分かりました。大学側の責任者は内閣府本部参与の肩書を持つ角南篤副学長。三菱重工業で航空宇宙事業本部顧問を務めた西山淳一客員研究員がメンバーに加わるなど、軍事研究をめぐる“軍産学融合”が官邸に近い人物を中心に進められていることが明らかになりました。

 役務の名称は「防衛技術分野に係る民間部門の知見等の活用状況調査に関する役務」。民生技術を今後の武器開発に生かすため米国、英国、フランス、ドイツ、スウェーデン、オーストラリアの6カ国を対象に、民間部門への資金供給制度▽先進的民生技術を軍事転用するための制度▽軍事技術について政府に提言する公的組織―について調査し、政策効果を分析します。

 入札に参加したのは政策研究院のみで落札額は約2948万円、落札率は98・87%でした。装備庁は本紙の取材に、同庁の役務を大学が落札した事例はほかにないと回答。調査結果を公表するかは内容を見て判断することになるとしています。

 入札時の渡辺秀明装備庁長官が、その後同大学の客員研究員に就任し、調査に関与していることも判明しました。

 西山氏は装備庁の調査役務のため昨年9月30日~10月7日に豪州へ出張。角南氏と渡辺氏も10月1日~6日に「学会出席」の目的で豪州を訪れました。政策研究院側は、渡辺氏は調査メンバーには入っていないとしつつ「装備庁の前長官時代に培った人脈の紹介などはボランタリー(自発的)にしてもらった。そのことで調査を効率的に進めることが可能になったと聞いている」としています。

 日本学術会議は昨年3月、過去の侵略戦争に科学者が協力した反省から「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」(1950年)、「軍事目的のための科学研究を行わない」(67年)と誓った過去の二つの声明を継承する声明を発表しています。

 装備庁による政策研究院への役務委託は、学術会議の声明を破壊し、科学を軍事化する新たな仕掛けです。


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