2018年2月3日(土)
相手陣営上回る猛奮闘を 名護市長選あす投票 沖縄
“子や孫の命守り抜く”稲嶺市長、懸命の訴え
自民陣営 デマ宣伝、締め付け強化
「辺野古の海にも陸にも新たな基地は造らせない」と奮闘する「オール沖縄」の稲嶺ススム候補(72)=現=と、新基地押しつけの安倍政権が総力を挙げて支援する自民党新人候補の一騎打ちとなった沖縄県名護市長選は、あす投票日となります。最終盤、稲嶺陣営は基地でも暮らしでも市民に共感を広げていますが、自民陣営がデマ宣伝と企業や地縁・血縁による締め付けをさらに強めるとともに、公明党・創価学会や日本維新の会も総力を挙げています。相手陣営を上回る最後までの猛奮闘が勝敗を決する大激戦となっています。
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「若者たち、子や孫の命を守り抜くため」。稲嶺候補が辺野古新基地建設に反対を貫く理由です。
2016年4月、うるま市に住む当時20歳の女性が元米海兵隊員の軍属によって命を奪われるという悲惨な事件が起きました。この女性が名護出身であることに、多くの市民は心を痛めています。
辺野古新基地ができれば、米海兵隊普天間基地(宜野湾市)から約3200人の米兵・軍属が移転し、米軍がらみの犯罪や事故の増加は必至です。
一方、沖縄で相次ぐ米軍機事故に関連して「それで何人死んだんだ」という自民党の内閣府副大臣のヤジは、県民・市民の命も尊厳もないがしろにする暴言として怒りを広げています。
新基地は耐用年数200年、欠陥機オスプレイは最大100機になり、名護市全域を飛び回ることになります。
小学生からの手紙
1日、稲嶺候補に小学6年生の女の子が手紙を渡しました。「私は基地のある名護市はいやです。友達や家族と楽しく安全に過ごしたいです。オスプレイがとんでいないふつうのくらしの方がいいです。私は戦争がおきてほしくありません。だから基地はいりません」
稲嶺候補はこう訴えます。「子どもたちが安心して遊んだり、勉強したりすることが幸せにつながる。それを守ってあげることがおとなの責任です」
「誇りある豊かさ」
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一方の自民候補はどうか。地元紙の情勢調査でも、投票先を決める際、53%が「基地を重視する」と回答したにもかかわらず、基地問題を避け、「辺野古の『へ』の字も言わない」態度を変えていません。有権者を愚弄(ぐろう)する態度です。
同時に、「市長が反対しても基地は造られる」、だから新基地受け入れと引き換えの米軍基地再編交付金を受け取った方がいい、とのデマを流してきました。しかし、これは論戦で決着がついています。
安倍政権が着手できているのは護岸総延長の4%にすぎず、埋め立てそのものは手つかずです。埋め立て区域のど真ん中に注ぎ込む美謝(みじゃ)川の水路切り替えが不可欠となりますが、これは名護市長の許可がないとできません。稲嶺市長と翁長雄志知事の権限で、新基地は止められます。
一方、稲嶺市政は再編交付金を受け取らず、あらゆる基金を活用して市の予算を8年間で合計508億円増やし、県内11市で初めて中学卒業まで入院・通院の医療費無料を実現。今後は、窓口段階での無料化実現や、学校給食や保育料の無料化拡充を公約し、「保育料や学校給食無料は新基地のない名護市で」と訴えています。「誇りある豊かさ」こそ求められています。
「期日前」大量動員
稲嶺候補の大義と政策的優位性は鮮明です。それだけに政府・自民党は、総力を挙げたすさまじい組織戦を展開しています。党関係者によると、現地入りした議員は100人を超えました。
無党派層・浮動票の取り込みを狙い、新興住宅地やマンションの多い地域を重点地区として、候補者本人がくまなく回り、声かけに奔走しています。
1月31日には小泉進次郎自民党筆頭副幹事長が市内3カ所で遊説し、約3000人を集めました。同氏は3日にも再び自民候補の最後の押し上げに名護入りし、期日前投票所が近い市役所前で街頭演説します。
企業・団体締め付けを強化した期日前投票への動員も激化。1日までの期日前投票者数は1万3903人と、前回市長選の同じ時期と比べ4674人増えています。
自民党県連幹部は市内のある会合で「投票行ったか、今行け。あなたの友達も紹介しなさい。その熱意が厳しいたたかいを必ず勝つ」と執念を燃やしています。
自民候補の後援会の宮里達也会長が副会長を務める北部地区医師会が、関連の病院や診療所に対し、管理部名で部署長あてに期日前投票をした職員を集計するよう依頼し、投票した職員の名簿の提出を迫っていたことも明らかになっています。
今回、自主投票から自民候補の推薦にまわった公明・維新も組織票固めに躍起になっており、両党の宣伝カーも市内を走り回っています。
稲嶺陣営は3日、4野党国対委員長がそろい踏みし、稲嶺押し上げに奮闘します。稲嶺候補の勝利を呼び込むには、最後の最後まで相手陣営を上回る取り組みが不可欠です。