2024年8月11日(日)
米CEO報酬 労働者の268倍
労組報告 “人生5回分以上”
【ワシントン=洞口昇幸】米主要株価指標「S&P500種株価指数」の構成企業の最高経営責任者(CEO)が2023年に受け取った報酬は、平均で1770万ドル(約25億9539万円)に上り、一般労働者の賃金中央値の268倍だったことが分かりました。米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)が8日に発表した年次報告で明らかにしました。
AFL・CIOは、これらの企業が労働者に多少の賃上げをしたとしても、「CEOが1年で受け取る金額を労働者が稼ぐには、人生の働く時期が5回以上必要だ」として経済的不平等・格差の拡大を批判しました。
報告は、原材料等の値段が下がっても企業は商品・サービスの値段をつり上げて企業利益とCEOの報酬を引き上げていると指摘。CEOの年間報酬額の平均はこの10年間で420万ドル増加しました。
「S&P500種株価指数」の構成企業でCEOと一般労働者の年間収入の格差が最も大きかった企業はアパレル企業のロス・ストアズで、2100対1でした。
調査対象とした約3700社すべてでみると、カジュアル衣料品大手アバクロンビー・アンド・フィッチは6076対1、多国籍化粧品メーカーのニュースキンは1万377対1などとなっています。
報告は「ニュースキンの賃金中央値にいる労働者がCEOの年収を得るには、紀元前8354年から働かなければならない」と指摘。「大企業は、CEOと労働者の給与の比率が50対1を超えた場合、法人税の増税で公正な負担をすべきだ。暴走するCEO報酬への課税を議会に訴えよう」と呼び掛けました。
1250万人の組合員を抱えるAFL・CIOは11月の米大統領選について、与党民主党候補のハリス現副大統領を支持すると発表。野党共和党候補のトランプ前大統領の大企業減税路線を厳しく批判しています。