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2024年6月30日(日)

主張

自衛隊発足70年

政治の立憲主義回復が急務だ

 あすは、1954年7月1日に自衛隊が発足して70年、また、2014年7月1日に当時の安倍晋三政権が自衛隊の海外での武力行使を可能にする「閣議決定」を強行して10年です。

 この「閣議決定」は、「憲法9条の下では海外での武力行使は許されない」とする従来の政府見解を百八十度転換し、自衛隊を「海外で戦争する軍隊」へと変貌させるのが狙いでした。改憲に等しい大転換を一片の閣議決定で強行したことは、憲法が権力を縛る立憲主義の乱暴な破壊でした。

■一片の閣議決定で

 「閣議決定」は、海外での武力行使を可能にする道をいくつもつくりました。

 まず、日本は攻撃を受けていないのに、海外での米国の戦争に参加し、米軍を支援するため自衛隊が武力を行使するという集団的自衛権の行使です。「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」としてきた政府見解を「憲法上許される」へと覆すものでした。

 「閣議決定」はこのほか、▽「戦闘地域」で米軍への軍事支援を行い、相手から攻撃されれば応戦する▽地理的制約なく米軍の部隊を防護するために武器を使用する―ことなどをできるようにしました。

 自衛隊は70年前、戦力不保持を定めた憲法9条に反する軍隊として創設されました。1990年代以降は国連平和維持活動(PKO)への参加や、米軍支援のためのインド洋やイラクへの出動など、海外派兵を拡大してきました。それでも「海外で武力行使をしてはならない」「活動は非戦闘地域に限る」という歯止めがありました。しかし、安倍政権はこうした歯止めを一気に取り除きました。

 それまでの歴代政権は政府の憲法解釈について「論理的な追求の結果として示されてきたもの」で、「自由に憲法の解釈を変更することができるという性質のものではない」とし、「憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねない」(2004年6月18日閣議決定の答弁書)としてきました。

 「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」との政府見解も、半世紀を超える国会論戦の積み重ねを通じ確立・定着していました。安倍政権は国民の批判を無視し、国会でまともな審議もせず、この政府見解を一片の閣議決定で「便宜的、意図的」に変えたのです。

■主権まで引き渡す

 そうした姿勢は岸田文雄政権にも引き継がれています。岸田政権は22年12月、政府が「憲法の趣旨とするところではない」としてきた敵基地攻撃能力の保有を打ち出した「安保3文書」の閣議決定を強行しました。3文書で自ら「戦後安全保障政策の大転換」と認めているにもかかわらず、国民にも国会にも事前の説明はありませんでした。

 しかも、今年4月の日米首脳会談では、米軍と自衛隊の指揮統制の連携強化で合意しました。先制攻撃を含め無制限に武力を行使する米軍の指揮下に自衛隊を事実上置くもので、日本の主権の一部を引き渡す憲法違反そのものです。

 自民党政治を終わらせ、立憲主義を回復することが急務となっています。


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