しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2024年6月30日(日)

「単独親権」維持660件

「共同親権」の2倍超

意見公募一部公開

 離婚後も父母双方が子どもの親権者となる「共同親権」の導入を巡り、法務省はこのほど、2022年12月6日~23年2月17日に実施したパブリックコメント(意見公募)への8000件近い個人の意見のうち、約1000件を開示しました。このうち「共同親権」導入に賛成する意見約300件に対し、「単独親権」維持を主張する意見が2倍超の約660件に上ることが分かりました。

 パブコメの内訳は、本紙の情報開示請求で初めて明らかにしたもの。パブコメへの意見は全体で約8000件(うち団体意見は90件)。法制審議会(法相の諮問機関)は23年8月29日に公開した資料で、個人意見は、「共同親権」導入賛成と「単独親権」維持支持の意見の比率はおおむね1対2だと報告していました。本紙が今回の開示分を集計した比率と一致しており、約3分の2の5200件あまりは「単独親権」維持を支持したものと推計されます。

 開示分、推計分のいずれも、導入への反対世論の強さを示しており、拙速に改定民法を成立(5月17日)させた政府・与党の責任が厳しく問われます。

 「単独親権」維持を支持する意見には「シングルマザーです。共同親権で法のさかのぼりは絶対にやめてください。離婚しても縁が切れないなんて危険だし地獄」「離婚を考えている身としては、現行の単独親権を強く希望します。夫婦間で話し合えないから離婚するのに、共同で子どもを育てられるでしょうか」などの懸念の声が多数ありました。

 政府の強引な姿勢に対してDV(配偶者などからの暴力)や虐待の被害者、日本共産党などの野党は国会審議の前提としてパブコメを全て明らかにするよう繰り返し求めてきましたが、法務省はいまだに全体を公表していません。(目黒健太)

当事者の意見、全面開示を

弁護士・「共同親権の問題について正しく知ってもらいたい弁護士の会」呼びかけ人 岡村晴美さん

 法務省は、DVや虐待事件を担当してきた弁護士からの強い懸念を無視し、パブコメで寄せられた当事者の切実な声も明らかにしないまま法案を成立させました。まるでだまし討ちです。

 法務省は、公開に必要な個人情報のマスキングにはかなり時間がかかるとして、公開を拒否し続けています。それなら、強引な進め方で法案成立を急ぐ必要は全くありませんでした。パブコメ結果は「単独親権」維持を求める意見が多数であり、法務省は早急に全面公開すべきです。


pageup