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2024年6月29日(土)

きょうの潮流

 「体にいいと、信用していたのに…」。小林製薬の紅麹(べにこうじ)サプリメントの健康被害が公になったとき、長く飲んでいたという女性がテレビで語っていました▼突然、腎臓病と診断され、裏切られた悔しさとともに、ずさんな製造や運用に怒りもあらわに。日本人の3割が摂取しているといわれ、身近な存在となったサプリの危険と制度の課題をうきぼりにしました▼衝撃がさらに広がりました。紅麹サプリの健康被害で、厚労省が新たに摂取との因果関係が疑われる死亡事例が76件もあったと発表。これまで死者数の公表は5人でしたが、はるかに超えた被害の実態がうかびあがってきました▼「本来ならばもっと早くこうした事例があれば報告が必要で、死亡事例について厚生労働省から問いただして初めて報告があった」と厚労相。これ以上、小林製薬に任せておくことはできないとも▼もっとも国の責任は大きい。紅麹サプリのように効果を商品に示せる機能性表示食品は、安全性や効能について国の審査はなく、企業任せ。政府は健康被害の収集と報告を義務づけるとしていますが、市場に出回り被害が起きてから行政が対応することでは同じ。自己責任とする制度に変わりはありません▼手軽に栄養補給や健康維持が期待できると市場規模を急拡大してきた機能性表示食品。解禁したのは、世界で一番企業が活躍しやすい国にするとした安倍元首相でした。国民の命や健康と引き換えに企業をもうけさせる。そんな国の危うさが表れています。


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