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2024年6月27日(木)

主張

沖縄・少女暴行事件

犯罪根絶へ米軍基地撤去こそ

 強い憤りを禁じ得ません。沖縄でまた許し難い事件が起きました。

 昨年12月、沖縄本島で16歳に満たない少女を車で誘拐して自宅に連れ去り、同意なく性的暴行を加えたとして、那覇地検がわいせつ目的誘拐と不同意性交の罪で米空軍嘉手納基地に所属する空軍兵長を起訴したことが分かりました。米軍基地あるが故の犯罪であり、少女の尊厳を深く傷つけたことに強く抗議します。

 今回の事件は25日にメディアの報道で明らかになりました。玉城デニー知事が23日の「沖縄全戦没者追悼式」の平和宣言で「広大な米軍基地の存在、米軍人等による事件・事故、米軍基地から派生する環境問題など過重な基地負担が今なお、この沖縄では続いている」と告発し、「基地問題の早期解決」を訴えたわずか2日後です。

■県に一切知らせず

 米軍基地が集中する沖縄では、米兵による性犯罪が繰り返されてきました。

 1995年9月に米海兵隊員ら3人による女子小学生への暴行事件、2008年2月には米海兵隊員による女子中学生への暴行事件、2016年4月には元米海兵隊員の軍属による20歳の女性への暴行・殺人事件などが発生しています。

 今回の事件について沖縄から「(日米両政府が)県民の人権を踏みにじる事件を抑止できない限り、全ての米軍は沖縄から去らなければならない」(琉球新報26日付社説)と怒りの声が上がっているのは当然です。

 看過できないのは、日米両政府がこれまで事件を伏せていたことです。

 林芳正官房長官は25日の記者会見で、地検が米兵容疑者を起訴したのは3月27日だったとし、外務省の岡野正敬事務次官が同日、エマニュエル駐日米大使に「遺憾の意」を表明し、綱紀粛正と再発防止の徹底を申し入れていたことを初めて明らかにしました。しかし、県にはこれまで一切情報が伝えられていませんでした。県が知ったのは、25日の報道によってです。

 事件が起きた昨年12月、岸田文雄政権は名護市辺野古の米軍新基地建設のため「代執行」を強行しました。エマニュエル大使は今年5月、石垣島や与那国島を訪問し、今回の事件に触れることなく米軍の「抑止力」の重要性を強調しています。今月16日には沖縄県議選が実施されており、政治的な意図から事件を隠していたとすれば重大です。なぜ県に直ちに通報しなかったのか説明すべきです。

■地位協定の改定を

 日米地位協定は、米兵の公務外の事件で米側に容疑者の身柄がある場合は、起訴まで身柄を日本側に引き渡さなくていいとする規定があります。95年の少女暴行事件を受け、殺人や性的暴行など凶悪犯罪に限り、起訴前の身柄引き渡しに米側が「好意的考慮」を払うとの「運用改善」で日米が合意しました。

 しかし、実際に引き渡すかどうかは米軍の裁量任せです。日本側が起訴前の身柄引き渡しを求めたケースはわずかです。今回の事件も、容疑者の身柄が日本側に引き渡されたのは起訴後で、すでに保釈されています。地位協定の改定とともに、米兵犯罪の根絶に向け、米軍基地の縮小・撤去こそ必要です。


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