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2024年6月24日(月)

主張

骨太方針2024(上)

さらなる国民生活破壊に走る

 岸田文雄政権が閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2024」で、財政健全化の名のもと医療・介護など社会保障の全面改悪が打ち出されました。物価高騰にあえぐ国民の生活・営業の困難に追い打ちをかけ、景気・経済にも重大な打撃を与えるものです。

 「骨太方針」は、22年・23年に見送った、25年度に国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の「黒字化」をめざすという目標を再び明記しました。GDP(国内総生産)比で政府債務残高を引き下げるため25年度から27年度に集中的な「歳出改革」を行うなど、国の予算の削減・抑制を強調しています。

■歳出改革の標的は

 一方で、敵基地攻撃能力の保有をはじめとする「防衛力強化」の継続や、4月の日米首脳会談で合意した「日米同盟強化」の推進を宣言し、それにかかわる歳出は「計画的に拡充する」とします。

 今後、金利引き上げによる国債の利払い費増加も懸念されるなか、「市場の信認を確保するため」財政健全化を強調するが、5年間で43兆円の大軍拡は堅持する―これが政府の方針です。そのもとで「歳出改革」の最大の標的とされているのが社会保障なのです。

 「骨太方針」は、昨年閣議決定した全世代型社会保障「改革工程」を「着実に推進する」としています。「改革工程」には、高齢者の医療費窓口負担引き上げ、都道府県内統一化の名による国保料(税)の値上げ、介護保険の利用料2割負担の対象拡大、「要介護1・2」の生活援助の保険給付外しなど、社会保障の全分野にわたる国民負担増と給付削減のメニューが並べられています。

 岸田政権は、高齢者向けの社会保障を「改革」することで、現役世代に実質的な負担を生じさせずに「少子化対策」の財源を確保するとしていますが、国保料(税)値上げの被害は現役世代にも及びます。「介護離職」「ヤングケアラー」などの実態に示されるとおり、公的介護の切り捨てで最も苦しむのは現役世代、若年世代です。

 「骨太方針」は児童手当拡充の財源として26年度から「子ども・子育て支援金」の名で現役世代の社会保険料を引き上げることも明記しました。まさに全世代に対する負担増攻撃です。

■暮らし守ってこそ

 物価高騰や経済停滞に対する打開策も示せないまま、さらなる国民生活の破壊へひた走る「骨太方針」の内容は、岸田政権の経済無策、対米従属・財界奉仕の政治の破綻を浮き彫りにしています。

 日本共産党は「経済再生プラン」で、大軍拡を中止し、富裕層・大企業の優遇税制にメスを入れることで22兆円の財源を確保して、消費税減税、年金の増額、国保料(税)軽減、介護の拡充、教育費負担の軽減を行うという、「暮らしを支え格差をただす税・財政改革」を提案しています。物価高騰から国民を守り、暮らしの困難を打開する政策に転換してこそ、経済を再生し、財政再建にも道を開くことができます。

 末期的状況にある自民党政治からの根本的転換が、いまこそ必要です。

 *(下)は27日付の予定


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