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2024年6月19日(水)

主張

機能性表示食品

根本からの制度の見直し必要

 健康のためによかれと摂(と)っていた食品で命まで失う―そんな事態が繰り返されてはなりません。小林製薬の紅麹(べにこうじ)サプリメントの健康被害を受け、政府は機能性表示食品制度の「今後の対応」を示しました。しかし最低限の応急措置としてもまったく不十分です。現行制度は廃止し根本から見直す必要があります。

 機能性表示食品制度は、飲むだけで「コレステロールを下げる」などの「機能性」(効能)を表示することができる制度です。

■国が事前の審査を

 しかし、安全性・効能について国の審査はなく担保は企業任せです。特定保健用食品(トクホ)では法に基づき効果や安全性を国が審査します。機能性表示食品は企業の届け出制で、人を対象にした臨床試験は必須でなく科学的根拠となる文献を提出すればすみます。

 小林製薬の事故で、報告まで約2カ月かかり被害を広げたことを受け、今回、企業は健康被害の疑いの情報をつかんだら「速やかに」行政に情報提供することを内閣府令で義務付けるとしました。しかし法律で義務付けるべきです。

 違反した場合、機能性の表示をしない指示・命令や営業禁止・停止を可能にするとしますが、そのためには違反を適切に把握する体制整備が必要です。また、被害情報は医師が診断したものに限られます。消費者からの情報も含めるべきです。「速やかに」というのも、重篤の場合15日以内、それ以外は30日以内が想定されており、遅すぎます。

 なにより問題なのは、健康被害の報告が義務化されても、市場に出回った後、被害が起きて初めて行政が対応する点では変わらないことです。

 制度を根本的に見直し、安全性や機能性について国が責任を持つ法制度をつくることが不可欠です。国の事前の安全性チェックが働く制度に変えるべきです。

■サプリのもつ危険

 大量の成分が濃縮される錠剤やカプセル状のサプリメントは健康被害を招きやすく厳しい品質管理が必須です。今回サプリについては適正製造規範(GMP)に基づく製造工程管理を内閣府令で義務化するとします。また、GMPに基づき原材料の成分全体の同等性・同質性を受け入れ段階でチェックすることを製造・販売企業の責任とします。

 小林製薬の紅麹サプリの場合、原材料工場がGMPの認証を取得しておらず、そこで青カビが発生・混入したと厚労省は推論しています。政府の方針は、原材料工場にはGMPを義務付けません。専門家からは「原料工場にも義務付けるべきだ」との声があがっています。

 さらに、GMPを順守しているかは企業の自主点検に任されます。消費者庁が立ち入り検査するとしますが、現状ではチェック体制は弱く適宜適切に検査できる体制の強化が必要です。

 サプリの危険性は、トクホなどでも同様です。現行では、トクホなどもGMPは義務化されておらず、見直しが求められます。

 機能性表示食品は、もともと企業が金をかけずに市場参入するためにつくられた制度です。安全性を国民の「自己責任」にする制度でよいのか。根本的見直しが必要です。


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