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2024年6月17日(月)

きょうの潮流

 ダウン症の生徒の一言がきっかけでした。「先生、俺に投げ方、教えてくれよ」。その真剣なまなざしに「心がざわついた」と。教えるとみるみるうまくなる。障害者の認識ががらりと変わった瞬間でした。34年前の経験がいまにつながっています▼東京都立青鳥(せいちょう)特別支援学校の野球部・久保田浩司監督(58)の著書『甲子園夢プロジェクトの原点』にあります。同校は7月、高校野球の西東京大会に初めて出場します。特別支援学校の単独チームとしては全国初。15日の組み合わせ抽選会で対戦相手も決まりました▼久保田監督は長らくソフトボールの指導をしていましたが、本当に教えたかったのは硬式野球。しかし、ここには壁がありました。「知的障害の子に硬球は危ない」と認められない現実です▼地方予選に出場した学校がないのもそのため。同監督は3年前、同校へ赴任したことをきっかけに安全策も具体的に講じ、野球部設立にこぎつけました▼同時に立ち上げたのが「甲子園夢プロジェクト」です。全国の知的障害の若者に呼びかけ、練習会などを実施。「健常者だって、障害者だって野球への思いはいっしょ」と硬式野球ができる場をつくってきました。目標は全国の特別支援学校にこれを広げることです▼もちろん簡単ではありません。支えは、生徒たちがいきいきと取り組み、自立、成長していく現実の姿です。この夏、青鳥の12人の球児たちが、挑戦する素晴らしさを証明してくれるはず。それが何より大きな一歩となります。


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