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2024年6月8日(土)

主張

合計特殊出生率

選択を保障する政治に転換を

 少子化対策を看板に掲げる自民党政権の下で、歯止めがかかりません。

 厚生労働省は5日、1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数を示す合計特殊出生率を2023年1・20と発表しました。年間出生数は72万7277人で、ともに8年連続減少し、過去最少です。減少のペースが加速化しています。

 5月に民間企業が発表した、20代の正社員男女対象のインターネット調査では、子どもがいない人508人のうち26%が子どもは欲しくないとし、11%が「可能であれば欲しかったが所得などや身体的理由で子どもは産めないと考えている」と回答しました。

■将来設計描けない

 欲しくない理由では「お金が足りない」「増税・物価高の中、自分のことで精いっぱいで育てる責任が持てない」など「金銭面の不安を挙げる人が多かった」といいます。経済的不安で子育てに希望が持てないことを浮き彫りにしています。

 SNS上では「子持ち様」という言葉が飛び交います。子どもを持てるのは恵まれたカップルだという思い、育児中の労働者の仕事を他の人が引き受けざるをえず苦々しく思う心情を映しています。少ない人数に過剰な仕事を押しつける働かせ方が背景にあります。

 自民党政治は財界の要望を受けて、将来設計が描けない非正規労働者を拡大しいまや労働者の37%に達します。30年以上、賃金が上がらない国となり、大学の高学費や競争的な教育など、子どもが安心して育ち、安心して育てられる環境が奪われています。

 長時間過密労働も大きな要因です。加えて、自民党は家父長制的な家族観で女性に家庭責任を押しつけ男性には長時間労働を強いてきました。女性の就業が増えるなか、女性だけに仕事と家事・育児の負担がかかる、キャリアが中断するなどが、子どもを産むのをためらわせています。

 選択的夫婦別姓に背を向けるなどジェンダー平等に逆行する政治が女性と若者を息苦しくさせています。

 自民党が子どもを大事にしていないことは、保育士の配置基準改善や少人数学級の要望を長年無視してきたことにも表れています。今国会では、子どもの利益を害しかねない離婚後共同親権導入を強行。成立した改定子ども・子育て支援法も支援は不十分で、かえって国民負担を増やすものです。結婚したい、子どもが欲しいという選択を保障する政治への転換が必要です。

■生きやすい社会に

 本気で気候危機にとりくまない、大軍拡などの政治に、未来に希望がもてず、「そんな社会に子どもを送りだすのか」という不安さえ広がっています。

 子どもを産むか、いつ、何人持つかは、それぞれの選択であり、その権利は保障されなければなりません。「少子化」を理由に若い世代、女性にプレッシャーをかける風潮は厳しく戒めなければなりません。

 大事なのは、誰もが生きやすい社会にすることです。人間を大切にする働き方改革、暮らしを支え格差をただす税・財政改革で若者と子育てを支援し、気候危機打開、ジェンダー平等社会を実現する―ここに子どもの未来に希望を示す道筋があります。


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