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2024年6月7日(金)

地方自治法改定案

伊藤議員の質問(要旨)

参院本会議

 日本共産党の伊藤岳議員が5日の参院本会議で行った地方自治法改定案に対する質問の要旨は次の通りです。


 改定案の重大かつ根本的な問題は、政府が「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」と判断しさえすれば、国が自治体に対して「指示」ができる仕組みを新設することです。

 「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」や「その発生の恐れ」があるとする場合、法定受託事務、自治事務の区別なしに自治体に「指示権」を行使できるとします。しかし、衆院の参考人質疑では「個別法の規定では想定できない事態であれば、地方自治法という一般法でも想定できるはずがない。地方自治法において、想定し得ない事態を想定して、その事態に対する権限を一般的・抽象的に行政権に授権することは『白紙委任』だ」と指摘されていますが、どう受け止めますか。

 これは憲法が保障する地方自治を乱暴に踏みにじるばかりか、国会が認めていない国の指示権を時の政府が独断で行使しうる点で、国会をも否定するものではありませんか。

 衆院で政府は、事態対処法のような有事立法で想定を超える事態も改定案による補充的指示権の行使の対象として除外されないと答弁しました。武力攻撃事態や重要影響事態、存立危機事態などで想定されていない事態が生じたとして、国が自治体に指示権を行使することが可能になるのではありませんか。

 重要影響事態法では、関係機関の長が自治体の長に、例えば公共施設の使用について、「必要な協力を求めることができる」とされます。ただし、自治体の長は協力を拒むことができるとされています。改定案で、個別法の想定を超える事態が生じたとして自治体に指示権を行使した場合、自治体は拒否ができますか。拒否できないなら、現行法の範囲をまったく無視した指示権を国が持つことになりませんか。

 すでに政府は沖縄で、沖縄県と沖縄県民の反対の意思を踏みにじり、名護市辺野古への米軍新基地建設を強行しています。玉城デニー県知事が、公有水面埋立法に基づき沖縄防衛局が提出した設計変更申請を不承認としたのに対し、政府は、国民の権利救済を目的とする「行政不服審査法」を悪用してこれを覆し、「代執行」にまで踏み切ったのです。現行法のもとでも県と県民の民意がこれほど踏みにじられています。改定案が通れば、さらに強権的に新基地建設が推し進められるのではとの不安や懸念が広がるのは当然です。新基地建設をめぐる政府の対応が、憲法で定められた地方自治の本旨を幾重にも、深く踏みにじるものだとの認識はありますか。


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