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2024年6月7日(金)

改定子育て支援法成立

井上議員の反対討論(要旨)

参院本会議

 日本共産党の井上哲士議員が5日の参院本会議で行った改定子ども・子育て支援法に対する反対討論の要旨は次の通りです。


 重大な問題は、必要とされる3・6兆円の財源を、既定予算の活用、徹底した歳出「改革」、医療保険制度に上乗せ徴収する支援金制度でまかなうとしていることです。その狙いは、子育て支援に関する公費負担を可能な限り削減しつつ、必要な財源は社会保障削減と国民負担で確保するという新たな仕組みづくりで、断じて認められません。

 岸田総理は、歳出改革で社会保障負担率の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築するため、支援金制度を導入しても社会保障負担率は上がらず、国民に新たな負担を求めるものではないと繰り返し説明してきました。

 しかし、歳出改革の手段は医療や介護の給付の削減にほかなりません。社会保障負担率の分子は社会保険料だけで、医療費の窓口負担や介護保険の利用料がいくら増えても、社会保障負担率は上がらないと政府は認めました。医療・介護の給付削減に伴う利用者負担の増加も支援金制度の導入も国民にとっては負担増そのものです。

 支援金は医療保険料に上乗せ徴収されますが、医療保険料は逆進性をもっています。収入の低い加入者の多い国民健康保険の方が保険料に対する支援金の負担増の割合が高くなります。子育て支援の拡充というのなら、公費そのものを大幅に増やすべきです。

 「こども誰でも通園制度」も問題です。同制度で提供するのは、法律上は「乳児又は幼児への遊び及び生活の場の提供」であって「保育」ではありません。利用する施設、月、曜日や時間を固定しない自由利用も認められ、居住地以外の都道府県をまたいだ利用も可能とされます。慣らし保育もなく、初めての施設で、初対面のおとなに預けられることが、子どもにどれほどのストレスを与えることになるか。施設にも大きな負担です。

 これがなぜ子どもの育ちへの応援なのか。親の都合優先以外の何ものでもありません。

 いま必要なことは、保育士の処遇を抜本的に改善しながら配置基準をさらに大きく拡充し、すべての子どもたちに質の高い保育を保障することです。

 子育て支援や教育費などの恒久的な制度の拡充の財源は、大企業や富裕層への優遇税制の是正、巨額の軍事費などの歳出改革で生み出し、持続可能な財源を確保して希望ある社会を実現すべきです。


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