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2024年6月1日(土)

きょうの潮流

 定刻前より各門外に群集したる男女は、四方より乱入して、ほとんど往来もかなわぬほどだった―。日本初となる洋風公園の開園にわいた市民の様子を当時の新聞が伝えています▼明治の文明開化の息吹のなか、121年前のきょう、東京に日比谷公園が誕生しました。洋花、洋楽、洋食の「三つの洋」を配し、マツやヒノキ、イチョウやサクラなど300種、2万4千本をこえる樹木や草花が植えられました▼造園学者の進士五十八(しんじ・いそや)氏によると、日比谷公園を原型として各都市に近代公園が波及。公園にたいする市民の意識も変わっていったといいます。底流に思いやりと癒やしがある公園は人びとの生活とともに育まれてきた文化であると▼都心に根付いた日比谷公園がいま再開発の波にさらされています。バラや芝生の美しい「第二花壇」はすでに壊され、公会堂に隣接する「にれのき広場」はアスファルトに。10年かけて施設の破壊や樹木の大量伐採をともなう大改造を強行する計画です▼オアシスから稼げる公園へ。東京都とともに主導しているのが、神宮外苑の再開発も手がける三井不動産です。グループ社をふくめ、そこには何人もの都の幹部が天下りしていることも「東京民報」の取材でわかっています▼小池都政と大手開発企業が結託して推し進める、もうけ本位の再整備計画。貴重な歴史遺産や文化財、環境が乱暴に消されていく都市の向かう先は、先人たちがめざした、潤いのある人間らしい暮らしと逆行するまちづくりです。


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