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2024年4月26日(金)

皆の願いでつくる学校 奈良教育大付属小(4)

出向撤回求める声

写真

(写真)強制出向をやめるよう求める7444人分の署名を提出に行く山﨑さん(左端)ら「守る会」の人たち=3月11日、奈良市

 奈良教育大学付属小学校(付小)では3月末で教職員約50人中26人が離任しました。終業式の日、ずらりと並ぶ離任の教職員の数の多さに、児童が戸惑いの声をあげました。

 付小では、4月から自治体に本採用されるなどの理由で離任する非正規の教職員などが例年になく多くいました。これ以上、誰も出せない状態のなか、10年以上のベテラン4人が強制出向になりました。

 校長、教頭、主幹という管理職全員がすべて入れ替わることになります。小谷隆男校長は4月から奈良県教育次長に着任しました。

笑顔増えたのに

 付小にはこれまで、一人ひとりの特性に合わせた教育をする通級指導教室(学習室)がありました。担当できる教員が出向等でいなくなり、4月からは開講できていません。

 「まだ体制が整っていない」「新しい教員が来ても引き継ぎはできない」と保護者に説明しています。

 子どもが学習室に通っていた保護者はいいます。「子どもは学習障害があり、低学年の一時期に学校に行けなくなった。学習室のおかげで行けるようになり、笑顔が増えたのに」

 奈良教育大学教授で同大学組合連合委員長の今正秀さんは「本人同意も前例もなく、3月中旬になっても出向先の労働条件の整備もできていない。これでは出向を命じることはできず、出向命令権の乱用以前の問題と弁護士が通知書を大学法人に送っています」と批判します。

 付小の教員は「少ない正規教員で、それぞれが多くの役割を担ってきた。4人の穴は大きすぎ、学校が大事にしてきたことを保障できない」と話します。

保護者も児童も

 大学は強制出向の対象は19人の正規教員全員だとしています。来年度は5人程度、その後も順次出向させる方針です。

 保護者らは2月末、「強硬な異動措置に断固反対いたします」という署名を2200人以上から集めて大学に提出。子どもたちは自分たちで署名を作って集めたり、校長室に直談判に行ったりしました。

 3月31日に「奈良教育大附属小を守る会」が奈良弁護士会館で開いた市民集会には420人以上が参加し、付小の教育を守り発展させようと語り合いました。事務局長の山﨑洋介さんは話します。「入会希望のメールが全国から続々と届いています。出向者を早く付小に復帰させ、来年度以降の新たな強制的出向を行わないよう求めるとともに、教育の発展のために学び、話し合い、取り組みます」

 (おわり)


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