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2024年4月25日(木)

皆の願いでつくる学校 奈良教育大付属小(3)

指導要領絶対の誤り

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(写真)奈良教育大付属小の問題を追及する宮本岳志議員=3日、衆院文科委

 奈良教育大学付属小学校(付小)の授業がなぜ「不適切」とされたのか。

 「背景には、授業は学習指導要領通りでないといけないという、文部科学省や奈良県教育委員会の誤った思い込みがある」と元文部科学事務次官の前川喜平さんは指摘します。「学習指導要領や教科書が何のために存在するかといえば、文化や学問を偏りなく学ぶという公共の福祉のため、子どものためです」

 付小の教員たちは子どもの認識の発達と教科の研究をふまえて、教育課程をつくってきました。「子どものためにあるはずの指導要領で、子どものための授業を抑圧することがあってはなりません。教育の自由は学問の自由と同等に保障されなければなりません」と前川さんは強調します。

実践に広い裁量

 1976年の、学力テストをめぐる裁判の判決で最高裁は、指導要領は大綱的な基準で、学校には創意工夫して授業を行う権限があると認めました。

 都立七生養護学校で教員が創意工夫した性教育の教材一式を「指導要領違反」だと持ち去った都議と黙認した都教委に対し、東京高裁は2011年、「不当な支配」と判断。「(指導要領の)一言一句が法規としての効力を有するということは困難」とし、「教育を実践する者の広い裁量」を認める判決が確定しています。

 日本共産党の宮本岳志議員は、3日の衆院文科委員会で兵庫県の私立灘中学校出身の盛山正仁文科相に対し、かつて同校で行われていた3年かけて小説『銀の匙(さじ)』だけを読む国語の授業について「評価されていることは知っているか」と質問。盛山氏は「多くの人が良かったと言っているのは承知している」とのべました。「その授業も学習指導要領に照らせば、不適切で、回復措置の対象となるのか」と宮本議員がただすと、文科省担当者は、「不適切」とは言えませんでした。

自民党が介入か

 今年1月、奈良教育大学は付小の教育課程を「不適切」と決めつけ、正規教員全員を対象に出向させる方針を出しました。背景に何があったのか。

 同月30日の自民党部会では、議題に付小のことがあがりました。その場で文科省の望月禎総合教育政策局長は「法令違反の疑いがある」と説明しました。

 その翌日、奈良教育大学の三木達行副学長は付小の教員に対し、「文科省から『自民党の部会で人事の質問が出て、政府として回答しなければならない』と言われた」「文科(省)に『まさかこのメンバーでこの4月を迎えるのではないでしょうね』と言われた」「文科省の上層部から『全員替えろ』と言われて、それでは運営ができないということで、何回も折衝した結果こういうことに」と説明。そして付小に正規教員の出向を強要しました。

 自民党や文科省による付小人事への介入を疑わせる事実です。(つづく)


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