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2024年3月3日(日)

控訴撤回し早期解決を

田村貴昭氏 ノーモア・ミナマタ訴訟で国に迫る

衆院予算委分科会

写真

(写真)質問する田村貴昭議員=2月28日、衆院予算委分科会

 日本共産党の田村貴昭議員は2月28日の衆院予算委員会分科会で、水俣病特措法で救済されなかった被害者128人全員を水俣病と認め、国と熊本県、加害企業のチッソに損害賠償の支払いを命じた「ノーモア・ミナマタ第2次近畿訴訟」判決は「国の完全敗訴だ。控訴を取り下げるべき」と迫りました。

 伊藤信太郎環境相は「判決は国際的な科学的知見と異なり上訴審の判断を仰ぐ必要がある」と取り下げ拒否。田村氏は、国が控訴理由とした医学的知見とは何かとただすと、環境省の神ノ田昌博環境保健部長は「係争中なので裁判で主張する」として説明を拒みました。

 田村氏は、医学的知見とは「毛髪水銀値50PPM以下であれば神経学的障害のリスクは低い」とする世界保健機関(WHO)のクライテリア(判断基準)101を指すことは間違いなく、新潟水俣病の1965年調査ではクライテリア以下の濃度でも発症頻度は同程度だと報告されており、WHOの専門会議に根拠となる科学的データを政府が報告しなかったことを示す当時の新聞記事を紹介。日本政府が水俣病の疫学調査を実施せず、わずかに調査したデータさえ会議に報告もせず、WHO基準を控訴理由とするなど論外だと厳しく批判しました。

 田村氏は、現行の公害健康被害補償法では救済されていないとして、「一日も早い救済を」と願う高齢患者の声を突き付け、このまま環境相が会わずに争えば原告らが死亡するのを座視することになるとして、直接会って声を聞くべきだと要求。伊藤環境相は「適切に判断したい」と述べるにとどまりました。

 田村氏は、昨年、全国の28紙が社説で政治による早期解決を求め、公害研究者ら有識者267人も判決を支持する共同声明に賛同したことを挙げ、伊藤環境相に早期全面解決と実態調査を強く求めました。


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