2023年12月9日(土)
万博中止を
カジノと一体 税金投入
山下議員“インフラを共有”
岸田首相“担当大臣に質問を”
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「カジノのための万博であり、カジノのためのインフラ整備だ」―。日本共産党の山下芳生議員は8日の参院予算委員会で、大阪・関西万博がカジノを中核とした統合型リゾート(IR)のインフラ整備のために開かれることを明らかにし、万博もカジノも中止するよう強く要求しました。
2025年に開催予定の万博と、30年秋ごろの開業を目指しているIRは、両方とも大阪市此花(このはな)区の人工島「夢洲(ゆめしま)」が予定地です。山下氏は、夢洲へのアクセスのための鉄道建設や上下水道整備など、万博関連事業の全体像は判明分だけで1・2兆円以上になると指摘。夢洲で万博とカジノが一体となって開発されているとして、その経過に言及しました。
大阪府・市がIR誘致を決めたのが14年。15年末、安倍晋三首相と菅義偉官房長官、松井一郎知事と橋下徹元市長(いずれも当時)が忘年会を行い、松井氏はその席で「総理にお酒を注ぎながら、一生懸命、(万博の)持論を展開した」「『菅ちゃん、ちょっとまとめてよ』(安倍氏の)この一言で大阪万博が動き出した」と自身の著書で振り返っています。松井氏は16年、候補地から外れていた夢洲での万博開催を提案。カジノ誘致とセットで、万博も夢洲に誘致されました。
山下氏は、18年、万博の大阪開催が決定した翌日に米大手カジノ事業者ラスベガス・サンズが発表した祝福メッセージでは、万博とIR計画とは「密接な関係がある」「公共施設やインフラを必然的に共有することになる」と露骨に狙いを語っていると指摘。維新の馬場伸幸代表も9月28日の記者会見で「万博からIRというレールが敷かれていて」「そこは惜しみなく」「お金を出していく」とまで発言していることをあげ、政府の認識をただしました。
岸田文雄首相は、IR整備は「万博とは別のプロジェクト。関係者のやりとりは承知していない」などと答弁。「万博は西村(康稔経産)大臣と自見(英子国際博覧会担当)大臣が監督を担い、IRは国交相の所管だ。その経緯については担当大臣に確認を」などと答弁から逃げ回りました。山下氏は「担当大臣に聞いてもごまかすばかりだから、総理に聞いている」と返しました。
山下氏は「万博は一時的なイベントだ。万博終了後、パビリオンやリング状の大屋根がどうなるか知っているか」と追及。岸田首相は「基本的に撤去される」と答弁しました。
山下氏は「万博が終わればパビリオンも大屋根もすべて撤去される。一方、カジノは未来永劫(えいごう)、営業を続けることになる。大阪・関西万博のレガシーはカジノということになる」と指摘。「そのために何百億円、何千億円もの税金が使われることを国民が納得するはずはない」と万博中止を迫りました。
岸田首相は、万博もIR計画も「中止を考えてはいない」と答弁しました。
山下氏は万博中止の場合、補償上限額は来年4月までなら大屋根と同程度の349億円だが、それを過ぎれば835億円に倍増すると指摘。「リーダーに求められるのは決断だ。冬山登山には『引き返す 勇気が大切 冬の山』という格言がある。リーダーの優柔不断で、国民を遭難させるようなことがあってはならない」と諭しました。
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