2023年12月9日(土)
きょうの潮流
あの懐かしい歌声が響き渡っています。ビートルズ最後の新曲と銘打たれた「ナウ・アンド・ゼン」。先月配信されると、全英1位をはじめ大ヒットしています▼「ときどきぼくはきみが恋しくなる」。離ればなれになってしまった大切な人にまた会いたい。そんな心情を込めた曲。ジョン・レノンが亡くなる数年前にニューヨークの自宅でピアノを弾きながらつくりました▼テープに残され雑音がひどかったものを、最新技術を駆使して完成。世界中を熱狂させた若き4人の姿を取り込んだミュージック・ビデオも郷愁を誘います。監修した監督は、世界がこんな状態になっている今、ぼくらにはもう一度ビートルズが必要なんだと▼生存するメンバーのポールは、ビートルズをふり返って思い出すのは「楽しさ、才能、ユーモアと愛」だと音楽雑誌で語っています。リンゴも「愛とともに。ビートはまだ鳴り続けている」(ロッキング・オン1月号)▼ジョンが自宅前で凶弾に倒れたのは日本時間のきょうでした。あれから43年の月日が流れましたが、ビートルズとともにジョンの曲は今も歌い継がれています。「平和を我らに」「ハッピー・クリスマス」「イマジン」。愛と平和をねがう人びとによって▼時代をこえた“新曲”はたくさんの心を揺さぶっています。暴力や憎しみ、人間不信がひろがるなかで、人が人をいとおしく思い、安らぎに満ちた世界を追い求めていく。どれほど時が過ぎても色あせない音楽の力が気づかせてくれます。