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2023年12月6日(水)

きょうの潮流

 85歳の弁護団長は、万感の思いを込めました。「心を打つ、人間らしい判決」。みずからの過去にも重ねあわせながら、勝訴の喜びをかみしめて▼国による生活保護費の大幅な削減に「ノー」を突きつけた名古屋高裁の判決。安倍政権が強行した基準引き下げの誤りを認め、「過程や手続きに過誤、欠落があり、裁量権の範囲の逸脱、乱用があった」と結論づけました。さらに初めて国に慰謝料の支払いを命じました▼全国各地でたたかわれている「いのちのとりで裁判」。生活保護費の減額で心身ともに苦痛を味わってきた人たちにとって、判決は希望をもって受けとめられています。生きる権利や人間としての生活が認められたと▼弁護団長を務めた内河恵一(よしかず)さんは、自身も生活保護を利用した経験があります。実家は貧しく両親も病気で満足に働けず、生活は困窮。それがなかったら、夜間の大学にも通えず弁護士にもなれなかった。今の自分があるのは経済的な弱者を救う制度のおかげだといいます▼戦後多くが家を失ったなかで、絶望せずに暮らせるようにつくられた生活保護法。社会保障の根幹を自民党政治は改悪してきました。これ以上削るところがない、この世から去れというのか―。当事者の声に背をむけて▼人間の尊厳を奪う攻撃をはねのけ、憲法に基づき現実に見合った「いのちのとりで」を守るたたかいは続きます。内河さんらが呼びかける、だれもが希望をもち安心して人生をまっとうできる社会を、ともにつくるために。


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