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2023年7月23日(日)

主張

クラスター爆弾

非人道的兵器の使用許されぬ

 米国がウクライナに供与したクラスター爆弾がロシアとの戦闘で使用されたことを米政府が明らかにしました。ロシアのプーチン大統領は同様の行動で対抗措置をとると述べ、クラスター爆弾による報復を示唆しました。問題の根源はロシアによるウクライナ侵略です。同時に、国際条約で非人道的とされたクラスター爆弾の使用は、いずれの側にも許されません。

無差別に殺傷する残虐さ

 地上や空中から発射されたクラスター爆弾は、大量の小爆弾を広範囲に放出し、民間人を含めて多くの人を殺傷します。

 多くの不発弾が地上に残るため、爆発の危険は戦闘が終わった後も長期にわたります。小爆弾は手で拾えるほど小さいので、好奇心から不発弾に触れて犠牲になる子どもが多くいます。

 米軍がベトナム戦争やアフガニスタン、イラクなどで使い、ロシア軍も地域紛争やシリアで使ったことがあります。ロシア軍がウクライナの人口密集地域でクラスター爆弾を使ったことが国連人権理事会の独立調査委員会によって報告されています。

 2008年にクラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)が締結され、生産、貯蔵、使用、移譲が禁じられました。日本を含め110カ国以上が署名・批准しています。北大西洋条約機構(NATO)加盟国の大半が批准しています。米国、ロシア、ウクライナは参加していません。

 長期間、無差別に人を殺傷する残虐性のために禁止された兵器です。条約に参加していない国の使用も正当化できません。

 クラスター兵器連合、ヒューマンライツ・ウオッチなどクラスター爆弾の禁止に取り組んでいるNGOは、米国によるウクライナへの供与に反対し、戦争当事者が国際人道法を守るよう求めました。NATOに加盟する英国、カナダ、スペインなども供与を支持しないと表明しました。

 米政府はウクライナ軍が「安全指針」に基づいて「適切に使用している」(カービー国家安全保障会議戦略広報調整官)と釈明しています。通用しない言い訳です。クラスター爆弾の安全な使い方などありえません。

 非人道的として国際条約で禁止された兵器の撃ち合いは民間人を犠牲にした戦争をいっそうエスカレートさせます。

 ウクライナによるクラスター爆弾使用は、国際人道法の順守を求める世界の声に逆らうものです。ロシアの非人道的行為を糾弾し、侵略戦争に反対する国際社会の支持を損ないかねません。

国際人道法を守ってこそ

 ロシアは侵攻開始直後から住宅、病院を含めた民間施設を攻撃し、民間人を殺害しています。22年3月には国連総会でロシアに即時、完全、無条件撤退を求める決議に続いて「ウクライナへの侵略の人道的帰結」と題する決議が採択されました。武力紛争のすべての関係者に国際人道法を厳守するよう求めています。

 ロシアに侵略をやめさせるには国際社会が一致してこれら国連総会決議の履行を求めていかなければなりません。国連憲章と国際法を守れという声を高めていくことが何より重要です。そのためにもクラスター爆弾の使用はやめるべきです。


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