しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年5月31日(水)

きょうの潮流

 物事の境目や差別。守るべき規範や道徳などにより、行動や態度につける区別。辞典を引くと、「けじめ」にはそんな語訳がついてきます▼語源については囲碁用語の「結(けち)」からきた、「分目(わかちめ)」が転じたと諸説ありますが、いずれにしても古くから使われてきた言葉です。源氏物語にもたびたび登場。「けぢめ見せたる」「けぢめ見えわかれぬ」など区別を視覚的にとらえることに多く用いられています▼この人の場合は、仕方なく目に見える「けじめ」をつけなければならなくなったか。岸田首相が息子の翔太郎・首相秘書官を更迭しました。昨年末に首相公邸で忘年会を開き、会見や組閣のまねごとまでしていたことに批判が高まるなかで▼翔太郎氏は今年1月の外遊同行時にも公用車を使用した観光や土産購入が問題になっていました。はなはだしい公私混同にもかかわらず、首相はかばい続け、今回も厳重注意で済まそうとしていました▼「適材適所の観点から総合的に判断した」。身内びいきと批判されながら息子を秘書官に起用したとき、岸田首相はそう答えていました。それがいかに的外れの人事だったか。公的な場での常識からかけ離れたありさまが物語っています▼己の権力欲と、取り巻くものだけを優遇する政治の私物化。安倍首相のときから鮮明になったモラルの崩壊。その姿勢は、身内にも周りにも特権や差別の意識をはびこらせることに。こんな恥ずべき政治に「けじめ」をつけるのは私たち国民です。


pageup