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2023年3月28日(火)

主張

ベラルーシ核配備

ロシアは危険な決定の撤回を

 ロシアのプーチン大統領が、同盟関係にある隣国ベラルーシに戦術核兵器を配備すると表明しました。ウクライナへの侵略をめぐってプーチン大統領はこれまでも核兵器の使用を辞さないとする威嚇を繰り返してきました。核兵器配備によって、核戦争の可能性は一段と強まります。決定を直ちに撤回すべきです。

米の核で正当化できない

 戦術核を搭載できる爆撃機をベラルーシにすでに提供し、核兵器を発射できるミサイル「イスカンデル」も引き渡したとしています。7月1日までにベラルーシに戦術核の保管施設を完成させるといいます。

 旧ソ連時代、ロシア以外のソ連構成国に配備されていた核兵器は、ソ連崩壊に伴って1990年代半ばまでに撤去されました。ロシアによる国外への核配備はそれ以来です。

 ウクライナ侵略開始以降、プーチン大統領は核兵器の先制使用を示唆したり、ロシアの核戦力を「特別態勢」に置くよう命じたりしてきました。

 戦術核は、戦場での局面転換などを狙って使うことが想定されています。ウクライナの隣国でもあるベラルーシに配備することは、実際に核を使う危険をいっそう高めかねません。

 2021年1月に発効した核兵器禁止条約は、核兵器の使用、威嚇、他国への核配備を禁止しています。ロシアは締約国ではありませんが、ベラルーシへの核配備は核兵器を違法としたこの条約に真っ向から反する行為です。

 プーチン大統領が21日に署名した中国との共同声明は、自国領土外に核兵器を配備すべきでなく、領土外に配備された核兵器はすべて撤去すべきであるとしています。この立場を自ら踏みにじるものです。

 プーチン大統領は、米国が北大西洋条約機構(NATO)の欧州諸国に核兵器を配備していることをあげて、ベラルーシへの核配備は「何も変わったことではない」と主張しています。

 しかし米ロが加盟している核不拡散条約(NPT)は核兵器を「いかなる者に対しても直接または間接に移譲しない」と明記しています。米国による核兵器の欧州配備はNPTに違反しており、これをもってベラルーシへの核配備を正当化することはできません。

 ロシアはベラルーシへの核配備にあたって同国からの要請があったとしていますが、ソ連崩壊後に非核保有国としてNPTに加盟したベラルーシへの核配備はNPT体制への信頼をさらに損なうことになります。

被爆国日本の責務果たせ

 核兵器が存在する限り、核戦争の危険はなくなりません。核兵器の廃絶こそが核の使用も核戦争もない世界を築く唯一の道です。5月に開かれる広島サミット(主要7カ国首脳会議)の議長国である日本の姿勢が問われています。

 岸田文雄政権には、ベラルーシへの核配備の撤回をロシアに求めることはもちろん、核兵器禁止条約に署名し、廃絶に向けた世界の流れに参加することが求められます。唯一の戦争被爆国として責務を果たす必要があります。米国の核抑止力に依存し、軍事対軍事の悪循環を招く戦争国家づくりは許されません。


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