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2023年1月24日(火)

中絶の権利取り戻す

合法判決50年 米で「女性の行進」

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(写真)「中絶の権利のために立ち上がろう」「私たちは勝利する」と声を合わせて行進する参加者=22日、ウィスコンシン州マディソン(石黒みずほ撮影)

 【マディソン(米中西部ウィスコンシン州)=石黒みずほ】米国で中絶を憲法上の権利と認めた「ロー対ウェイド判決」から50年を迎えた22日、米各地で「女性の行進」が行われました。昨年最高裁が同判決を覆したことに抗議し、全国で中絶を合法化するよう求めました。米メディアによると、46州の200カ所以上で行動が実施されました。

 メインイベントは中絶の権利が焦点となっている中西部ウィスコンシン州マディソンで開催され、近隣の州からも参加者がバスで駆け付けました。

 参加者は「私の体のことは私が決める」「女性の権利は人権だ」などと書かれたプラカードや横断幕を掲げ、マーチングバンドの演奏に合わせて、州会議事堂まで行進しました。

 参加者の一人、キャサリン・マクエイドさん(75)は、1960年代から中絶の権利の保障を求め活動してきました。妊娠を理由に高校を卒業できなかった大勢の友人や、12人の子どもを産み育て経済的、精神的、身体的に苦しんでいた母親を思い出すと話しました。

 「『ロー対ウェイド判決』は女性たちが将来仕事に就くため教育を続けること、自分が望む時期に望む形の家族を築くことを可能にした」

 キャサリンさんは最高裁判決後、多くの若い女性たちが立ち上がっていることに希望を感じています。「権力者には中絶の権利を取り戻すまでは声を上げ続けるということを示したい」と力をこめました。

 地元のマディソンから参加したアンディーさん(35)は「母や妹、パートナーのために声を上げる義務がある」と話します。経済的理由で中絶を受けられない人もいると指摘し、「中絶は合法なだけでなく公平でなければならない」と強調しました。

 同州では妊娠20週までの中絶が合法とされていましたが、最高裁判決後、中絶手術を違法とする1849年制定の州法が再施行されました。同州法の審議を予定している州最高裁は2月、保守派判事の引退に伴い新判事を選ぶ第1回投票を行うことから、中絶擁護派はリベラル派候補への投票を呼び掛けています。

 ロー対ウェイド判決 人工妊娠中絶を規制する州の法律に対し、米国憲法違反と判断した1973年の連邦最高裁判決。妊娠を継続するか否かの女性の決定は「プライバシー権」に含まれるとし、中絶を合法化し、女性が選択する権利を確立する第一歩になりました。右傾化した連邦最高裁は2022年6月、同判例を覆す判断を下し、1月現在14州で中絶の禁止または厳しい規制が実施されています。


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