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2022年5月25日(水)

力対力でなく、外交力で平和を

日本共産党の安全保障論のブックレット出版

志位委員長が会見

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(写真)記者会見する志位和夫委員長=24日、国会内

 日本共産党の志位和夫委員長は24日、国会内で、自著のブックレット『ウクライナ侵略と日本共産党の安全保障論』の出版にあたって記者会見を行いました。ブックレットは、4月29日に行われた「大学人と日本共産党とのつどい」での講演と質疑応答に、大幅に加筆・補正を行って仕上げたものです。会見には多くのメディアが参加。志位氏は1時間半にわたって日本共産党の安全保障論をくわしく語り、質疑に応じました。

 冒頭、志位氏は、「今度の参院選は、戦争か平和か――日本の進路が問われる重要な選挙になります」と強調。「わが党の安全保障論を貫く根本的立場は、“力対力でなく、外交力で平和をつくる”というものです」とのべ、この立場を広く訴えていくことを表明しました。

 第1章の「ウクライナ侵略と日本共産党の立場」では、ロシア・プーチン政権の無法を明らかにし、「ロシアは侵略をやめよ」「国連憲章を守れ」の一点で全世界が団結することの重要性を強調。バイデン米大統領の「民主主義対専制主義」などあれこれの「価値観」で世界を二分する対応は解決につながらないことを詳しく明らかにしています。核兵器問題では、「核抑止」論を打ち破る論戦について、踏み込んだ解明をしています。

 第2章の「危機に乗じた9条改憲を許さず、9条を生かした平和の外交戦略を」では、ウクライナ危機に乗じた「軍事力強化」「抑止力強化」「9条変えろ」などの大合唱について、「軍事対軍事」=軍拡競争の悪循環をもたらし、戦争へとつながる危険をつくり出すと強く批判。自民党などが進める「敵基地攻撃能力保有」、「GDP(国内総生産)比2%への大軍拡」、「9条改憲」の危険性について、全面的に明らかにしています。

 そのうえで、東アジアに平和をつくる日本共産党の「外交ビジョン」とその意義について踏み込んで解明。この提案の現実性と合理性について、(1)現にある「東アジアサミット」(EAS)という平和の枠組みを活用・発展させる(2)軍事ブロックのように特定の国を仮想敵に見立てて排除する排他的アプローチでなく、地域のすべての国を包み込む包括的アプローチ(3)国連憲章と憲法9条の精神にかなったもの(4)東アジア規模の友好協力条約の締結の現実的条件は大いにある――ことを示しています。

 この中で、同日行われていた「日米豪印戦略対話」(クアッド)について、「対中包囲網という色彩が色濃くにじむ枠組み」であり、「こういう排他的アプローチを拡大していくと、結局、『軍事対軍事』の対立を拡大していく危険をはらんでいる」と指摘しています。

 第3章の「安保条約と自衛隊に対する日本共産党の立場について」では、日米軍事同盟の特別の危険性を指摘したうえで、(1)日米安保の是非を超えて緊急課題での共同を追求しつつ(2)日米安保条約廃棄の国民的多数派をつくるために努力する「二重の取り組み」の重要性を強調。さらに、「自衛隊の段階的解消の方針」について詳しく解明しています。

 会見で志位氏は、「憲法違反の自衛隊を活用するということは矛盾している」との疑問や攻撃に対し、「日本共産党としては、一貫して『自衛隊=違憲』論の立場を貫きますが、党が参加する民主的政権の対応としては、自衛隊と共存する時期は、理の必然として、『自衛隊=合憲』の立場をとることになります。自衛隊を活用するのはいうまでもなく民主的政権です。民主的政権としての憲法判断が『自衛隊=合憲』である以上、その政権が自衛隊を活用することに、憲法上、何の矛盾もありません」と強調。「党としては、『自衛隊=違憲』論を貫き、憲法9条と自衛隊との矛盾を、憲法9条の完全実施に向けて、国民合意で一歩一歩解消していくための努力を尽くします。こうした日本共産党の立場こそ、もっとも責任ある立場だというのが私たちの確信です」と表明しました。


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