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2022年5月16日(月)

ロシアの侵略止めるには―

“「民主対専制」の構図は有害”

「ルールに基づく国際秩序」で結束を

米欧識者ら次々

 ロシアによるウクライナ侵略をめぐり、日本共産党は「この戦争をどう終わらせるかは、世界の平和秩序の行方を左右する大問題」(志位和夫委員長)と強調し、国連憲章に基づく平和の国際秩序の回復に向け国際社会の結束を求めています。志位氏は、「あれこれの『価値観』で世界を二分するのでなく、『国連憲章を守れ』の一点での団結」が必要だと指摘してきました。この点で、「民主対専制」の構図を強調するバイデン政権に対し、米国や欧州、アジアの識者から、批判の声が上がっています。

 外交ジャーナリストのファリード・ザカリア氏は、米紙ワシントン・ポスト(4月29日付)のコラムで、「民主対専制」の構図は「外交指針として正確でもなければ、有用でもない」と主張。力で国境線を変更するという極めつきのルール破りを犯す「ならず者の代表格」であるロシアに対するには、「民主対専制」の押し付けではなく、「ルールに基づく秩序」の回復という「よりインクルーシブ(包摂的)」な国際努力が必要だと述べています。

 ザカリア氏によれば、「民主対専制」の構図は「ほとんどの途上国を非常に不安にさせる」と指摘。「ルールに基づく国際秩序」の回復という共通点で結束を求めるなら、「本格的な自由民主主義国家ではない」諸国も、「自国が王政のため、専制主義とのたたかいに乗り気ではない」諸国も含め、幅広い支持を獲得できるはずだとして、中国にも政治的な「プレッシャー」になると指摘します。「民主主義」の押し付けで他国の主権を侵害してきた例に事欠かない米外交を知る識者からの指摘として注目されます。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(4月14日付)は、「民主対専制」の価値観で対ロ圧力を強めようというバイデン政権の方針に、多くの途上国がついていけない状況を指摘。米国の「民主主義」や「価値観」の押し付けに対する中南米やアラブ諸国の根強い警戒感をあげて、「途上国は大国間の争いで自国が利用されるのを望んでいない」と伝えています。

 ザカリア氏のコラムは、同氏が司会を務める米CNNの番組(4月24日放映)での討論をもとにしたものです。同番組では、英国のミリバンド元外相が、ウクライナ問題は欧州の安全という枠を超えて、世界の秩序をどうするかの問題だと指摘。「西側は民主対専制という構図をとるべきではない」と警告しています。シンガポールの元外務次官キショール・マブバニ氏も、ロシアの侵略反対では「非常に大きな国際的一致」があるのに、西側の構図を押し付けてしまえば、途上国は「ついていけない」と批判しました。(小林俊哉)


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