2022年5月10日(火)
国交相裁決は違法
辺野古設計変更 県が係争委に申し出
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設の政府の設計変更申請について、斉藤鉄夫国土交通相が、申請を不承認とした玉城デニー知事の処分を取り消す裁決を行ったことを不服として、沖縄県は9日、「裁決は無効であり、違法な国の関与」だとして総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査を申し出ました。
設計変更は、埋め立て海域北側の大浦湾で軟弱地盤が見つかったことに伴うもので、防衛省沖縄防衛局が2020年4月に地盤改良のための設計変更を県に申請していました。県は21年11月、軟弱地盤に関して地盤の安定性が十分に検討されていないことなどから申請を不承認としました。
これに対し防衛局は21年12月、行政機関による私人への権利侵害の救済を目的とした行政不服審査法を悪用して、国交相に審査を請求。国交相は請求を認め、先月8日に不承認を取り消す裁決を行っていました。
デニー知事は9日、コメントで「裁決は、公正・中立な審査庁による判断という行政不服審査制度の前提が欠落しており、審査庁としての地位を著しく乱用したもの」だと批判。「不承認処分は今なお有効に存在している」と述べ、不承認となった以上、新基地建設の「埋め立て工事全体を完成させることがより困難な状況」だと指摘しました。
「今後も政府に対し、対話によって解決策を求める民主主義の姿勢を粘り強く求める」とし、日米両政府に対し、米軍普天間基地(同県宜野湾市)の速やかな運用停止を含む一日も早い危険性の除去を求めていく考えを示しました。