2022年5月4日(水)
朝日新聞支局襲撃事件35年
支局で市民ら献花
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朝日新聞阪神支局の襲撃事件から35年となった3日、支局1階には祭壇が設けられ、朝から市民が訪れては献花し、殺害された小尻知博記者の遺影に手を合わせました。
千葉県の高校教諭(58)は教員1年目だった1987年5月に事件を報道で知りました。その前の大学時代に小尻記者の取材を受けていたといいます。以来、ほぼ毎年この日に支局を訪れています。
「教師生活も締めくくりに近づいてきたが、生徒たちにこの事件のことを伝え続けていく」
芦屋市の元会社員(69)は「使命感を持った記者が見せしめのように命を絶たれた。世の中にいろいろな意見があるが、力で口を封じることがあってはならない。今の記者たちも勇気をもって伝え続けてほしい」と語りました。
宝塚市の女性(69)は日本軍「慰安婦」に関する市議会の意見書議決を目指す運動にかかわった際、自宅に脅迫のファクスや電話がかかったといいます。
「姿を見せずに黙らせようとすることの怖さが、今も心から抜けない。言論の封殺に怒りを覚える。そのことを忘れないよう、この日はここに来る」
新型コロナウイルス感染対策のため、従来行っていた支局3階の資料室の一般公開は今年も中止。メディアには公開され、銃弾で穴の開いた小尻記者の服や、体内から摘出された散弾粒などが事件の記憶を伝えていました。