2022年4月28日(木)
主張
政府の物価高対策
窮状を打開する施策に改めよ
岸田文雄政権が物価高騰に対する「総合緊急対策」を決めました。国費の支出はコロナ対応の支援を含め6・2兆円です。急激な物価高への対策としてまったく不十分です。コロナ危機で既に2年以上苦しんでいる国民や中小企業に手を差し伸べる姿勢が見られません。金額も施策の内容も事態に見合ったものに改めることが政府の果たすべき責任です。
これではあまりに不十分
3月の消費者物価上昇率(前年比)は生鮮食品11・6%、電気代21・6%、都市ガス代25・3%と、低所得者ほど打撃が大きい食品や光熱費で特に深刻です。各種調査で中小企業の6~8割が仕入れ値の上昇分を販売価格に転嫁できていないと答えています。現場に直接届く支援が急務です。
生活困窮者への給付金は住民税非課税世帯に限定せず、支援を必要とする人全体を対象とすべきです。アルバイト収入が減った学生への支援などきめ細かな施策が求められます。
生活必需品全体の価格を一気に下げるには消費税減税しかありません。低所得者の打撃を軽減するためにも待ったなしです。岸田政権は消費税減税を拒む態度を改め、税率を緊急に5%に引き下げなければなりません。
中小企業対策では直接支援の拡充が不可欠です。給付額を持続化給付金並みに増やし、家賃支援給付金も再支給してほしいというのが業者の切実な要求です。
輸入小麦の価格引き下げは政府が行える物価対策です。輸入小麦は政府が買い付け、政府が決めた価格で製粉業者に売り渡します。4月に値上げしましたが、値下げしない方針です。国民の苦しみを真剣に受け止めていません。
今の物価高には、コロナ危機で停止していた経済活動の再開による需要増、ロシアのウクライナ侵略と経済制裁に伴う原油や小麦価格の上昇、急激な円安といった要因がからみ合っています。日本経済の体質を変える抜本的改革が必要です。
物価上昇は実質賃金をさらに落ち込ませます。最低賃金を全国一律1500円に引き上げることはいよいよ重要です。安倍晋三政権の優遇政策で2012年以降に増えた大企業の内部留保に課税すれば、中小企業の賃上げを支援する財源を確保することができます。
年金の減額、後期高齢者の医療費窓口負担の引き上げなど社会保障の削減はやめるべきです。
安倍政権が日銀に導入させた「異次元の金融緩和」は円安を加速させ、輸入物価を押し上げています。抜本的転換を図る時です。
予備費の乱用許されない
今回の対策の財源のうち1・5兆円は22年度当初予算で組んだ予備費を充てます。その支出を穴埋めするため補正予算で新たに1・5兆円の予備費を積み増します。予備費は使途を事前に定めず、内閣の権限で支出する予算です。自然災害など不測の事態への対応として認められています。
ところがコロナ対策の名目で巨額の計上が常態化しています。今回はコロナ対策の予備費を物価高対策に充てるといいます。予備費の乱用です。財政は税金が原資です。使い道を事前に国会で審議するのは民主主義の大原則です。岸田政権は費目を明示した補正予算案を国会に提出すべきです。