2022年4月22日(金)
自民、相手国中枢攻撃を提言
「指揮統制機能」対象 「GDP2%」大軍拡も
自民党安全保障調査会(会長・小野寺五典元防衛相)は21日、政府の安全保障戦略の指針となる「国家安全保障戦略」など3文書改定に向けた提言案を了承しました。提言案では、政府が「違憲」としてきた「敵基地攻撃能力」について、「専守防衛の考え方の下、弾道ミサイル攻撃を含むわが国への武力攻撃に対する反撃能力を保有し、抑止、対処する」と明記。名称を「反撃能力」とした上で、攻撃対象について、「ミサイル基地に限定されるものではなく、相手国の指揮統制機能等も含む」としました。
軍の司令部だけでなく、相手国家の政府機関など「中枢」の攻撃にもつながる動きであり、「専守防衛」では到底説明がつきません。同党は党内手続きを経て、月内に岸田文雄首相に提出する考えです。首相も安保戦略などの改定に向け、「敵基地攻撃能力の保有」検討を表明しています。
また、提言案は軍事費について、北大西洋条約機構(NATO)が加盟国に国防予算の国内総生産(GDP)比目標2%以上を求めている点を念頭に「5年以内に防衛力を抜本的に強化するため必要な予算水準の達成を目指す」としました。当初予算で5・4兆円規模の軍事費を11兆円規模まで拡大する大軍拡を狙っています。
さらに、海外への武器輸出の要件を大幅に緩和した「防衛装備移転三原則」の見直しも盛り込みました。国際法違反の侵略の被害を受けた国に対し、殺傷性のある弾薬などを念頭に「幅広い分野の装備」移転を可能とする制度の検討を求めました。ウクライナへの軍事支援をめぐっては、対戦車砲の提供を要請されたものの、法的根拠がないため、防弾チョッキなどの提供を行いました。
中国の台頭やロシアのウクライナ侵攻を受け、中国を「重大な脅威」、ロシアを「現実的な脅威」にそれぞれ引き上げる方針も盛り込みました。