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2022年4月21日(木)

主張

中小企業の経営難

切迫した事態に対策を急げ

 外国為替市場で円安が止まらず、約20年ぶりとなる1ドル130円台も目前です。急速な円安は輸入物価を押し上げます。2度の消費税増税とコロナ禍ですでに大打撃を受けている中小企業は危機にひんしています。政治の責任で緊急の支援に乗り出すとともに、日本経済の主役である中小企業を支える政策を抜本的に強めなければなりません。

直接支援の要求に応えよ

 全国商工団体連合会(全商連)が4月上旬に行ったアンケートで、原材料価格や仕入れ値の上昇分を販売価格に転嫁できていないと答えた業者は「ほぼできていない」「一部しかできていない」を含めて76%に上りました。この1年間で仕入れ値が1割以上上がったとの回答は88%でした。「3割以上」も15%いました。

 民間信用調査会社、東京商工リサーチが同時期に行った調査でも68%の中小企業が「価格転嫁できていない」と答えました。「すでに赤字」の企業は繊維・衣服卸売業、道路貨物運送業でともに46%です。営業すればするほど赤字が拡大しかねません。

 政府は昨年12月、原油や原材料価格高騰を念頭に「転嫁円滑化施策パッケージ」を策定しましたが、現状では機能していません。

 東京商工リサーチが集計している「新型コロナ関連経営破綻」は3月に月間の最高を更新する216件に達しました。4月も19日までに99件判明しています。

 これまでの業績不振の長期化によって多くの企業が過剰債務に陥っています。ロシアのウクライナ侵略に伴う世界経済の混乱で物価高や原材料の供給難は今後も深刻化が予想されます。もはや中小企業自身の努力だけで乗り切れる事態ではありません。

 全商連は中小業者への直接支援、既往債務の返済凍結、10年間元利返済不要の追加融資などを政府に要請しました。岸田文雄政権は正面から応えるべきです。

 岸田政権が2021年度補正予算に計上した事業復活支援金は20年の持続化給付金の半分しかありませんでした。しかも対象期間は22年3月末までです。新たな直接支援が不可欠です。支給額を持続化給付金並みに拡充し、家賃支援給付金も再支給することは当然です。

 中小企業の困難の根底には安倍晋三政権下で2度も行われた消費税増税があります。税率を緊急に5%に引き下げることは業者にとっても切実な要求です。

 消費税のインボイス(適格請求書)制度は23年10月の導入に向けて事業者登録が行われています。消費税の納税を免除されてきた小規模事業者や個人事業主に新たな税負担がのしかかります。導入は中止すべきです。

1兆円規模に予算拡充を

 中小企業は企業数の99・7%、従業員数で全体の7割を占めます。しかし政府の中小企業対策費は22年度予算で1713億円と、一般歳出全体の0・25%しかありません。岸田政権が昨年、大手半導体メーカーの一工場に約4000億円の助成を決めたことと比べ、桁違いの少なさです。

 日本経済の回復には中小企業の危機打開が欠かせません。大企業優遇の政策を切り替え、中小企業予算を1兆円規模に増額する必要があります。


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