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2022年4月14日(木)

別の処分方法の実施を

環境団体 汚染水放出撤回を訴え

政府決定1年で会見

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(写真)オンライン記者会見する環境団体のメンバーら=13日

 東京電力福島第1原発事故で発生する放射能汚染水を処理した後に残る高濃度のトリチウム(3重水素)を含む汚染水(アルプス処理水)について、政府が基準値未満に薄めて海に放出する方針を決めて1年となった13日、複数の環境団体が共同で記者会見し、「1年たっても(市民や諸外国に)理解が広がっていない」として方針を撤回するよう訴えました。また、大型タンク増設による保管継続、モルタル固化など別の処分方法の実施、根本的な汚染水対策を求めました。

 国際環境NGO「FoEジャパン」の満田夏花事務局長は政府の方針決定について、トリチウム以外の放射性物質の総放出量が不明▽代替案が十分に検討されていない▽決定プロセスが非民主的▽「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」とした漁業者との約束をほごにするもの―など、問題点を指摘しました。

 「これ以上海を汚すな!市民会議」の織田千代共同代表(福島県在住)は原発事故の苦しみに触れつつ、処理水について「どんなに薄めたからといって、人為的に放射能を拡散することは原発事故の影響が続くことを意味する」と訴えました。同会議メンバーの片岡輝美さんは、反対意見を受け止めず「理解しろ」という政府の姿勢について「原子力行政における思想統制だ」と批判しました。

 原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「まず建屋への地下水流入を止めるべきだ」と、根本的な汚染水対策の必要性を強調。グリーンピース・ジャパンの鈴木かずえさんは、海洋汚染にかかわる条約をひもときながら「これまで人間は、海に甘えてあらゆる廃棄物を海に捨ててきた。その歴史はもう終わりにしなければならない」と訴えました。

 処理水をためたタンクは来春ごろに満杯になるとされ、政府と東電は海洋放出にむけて準備を進めています。


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