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2022年4月12日(火)

「前に進む勇気もらった」

ベルリンでウクライナ難民支援

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(写真)就労支援ブースで説明を受ける人たち=10日、ベルリン(桑野白馬撮影)

 【ベルリン=桑野白馬】ベルリンで10日、ドイツ国内約30の非政府組織(NGO)やボランティアがロシアのウクライナ侵略から逃れた人たちを直接支援するイベントを開きました。就労や宿泊、語学学習のほか、法律相談や精神面のケアなどを担う団体が一堂に会し、訪れた難民一人ひとりに応対しました。

 主催はベルリン在住のウクライナ人組織「ウクライナ団体連合」と、ドイツ人の若者を支援する「ドイツの夢」。8500人以上が参加しました。

 会場いっぱいに詰めかけた参加者のなかには、ベビーカーを押した女性や、高齢の家族の手を引く人もいました。難民にはトルコ料理やピザ、ビールやアイスクリームが無料でふるまわれ、休憩所で談笑したり、チェスに興じたりする人もいました。子どもコーナーでは、ビーズを使った工作に挑戦する子どもたちがいました。

 就労支援団体の説明を聞いていたダーシャさん(20)は「こんなにあたたかい支援を受けられるなんて」と言葉を詰まらせました。「前に進もうという勇気をもらった。まずは仕事を探そうと思う」

 オズデミル独農相があいさつしたほか、ベルリンのギファイ市長や、ボクシングの元世界王者でウクライナ首都キーウ市長の弟ウラジーミル・クリチコ氏がビデオメッセージを寄せました。

中長期支援「対等の立場で」

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(写真)料理教室の説明をするアンナさん(右)=10日、ベルリン(桑野白馬撮影)

 ベルリンで10日に開かれたウクライナ難民の支援イベントには、中長期的な視点から支援を提供しようと、さまざまなNGO団体やボランティアが集結しました。

 「新しい場所での生活を始めるには、何でも話せる友人を見つけるのが一番だ」と語るのは、言語交換のパートナー探しを仲介する「スワフ・タンデム」の共同責任者ヤコブ・フィルツィンさん(32)。「支援する側とされる側の一方的な関係では、いつまでも『難民』だ。仲間として一緒に暮らす手伝いをしたい」

 移民や難民を招いて料理教室を開き、相互理解を目指す団体「枠にとらわれない」は2013年に設立。メンバーのアンナさん(29)は「料理は、分け隔てなく一緒に活動するのに最適だ。地域への適応を後押ししたい」と語りました。

 独通信大手のドイチェ・テレコムもブースを設置。パスポートを見せればその場で、6月末まで無制限に使える携帯電話を無料で提供します。勤続32年のディークさんは「会社の決定を誇らしく思うし、個人としても最大限の支援をしていきたい」と力を込めました。

 メンタルヘルスケアを担う「家庭のぬくもり」は、インターネットを使い、どこにいても支援を受けられる体制を整備。ウクライナ人の心理学者を雇い、言語面での不安も解消しています。

 イベントを主催した「ウクライナ団体連合」のイラ・ビチェさん(29)は「人種や団体の垣根を超えた支援の輪が広がるきっかけとなるよう願う。今度も同様のイベントを開きたい」と意気込みました。


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