2022年4月6日(水)
25年までには排出量ピークに
IPCC報告書 気温上昇1.5度内へ
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は5日、温室効果ガスの排出削減対策を評価する第3作業部会の報告書を公表しました。8年ぶりの報告書は、今世紀末の世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて1・5度に抑えるには、温室効果ガス排出量が遅くとも2025年までにピークに達し、減少に転じる必要があるとしました。
気温上昇を1・5度に抑えることは、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」が掲げた努力目標。昨年の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)でも、1・5度に抑える努力を追求することで合意しました。
報告書は、人為的な温室効果ガスの排出量は2010~2019年の間、増加し続けたと指摘。これまで実施された対策を強化しなければ、排出量は25年以降も増加し、今世紀末までに気温上昇は3・2度に達すると警鐘を鳴らしています。
世界の平均気温は産業革命前と比べ、すでに約1・1度上昇。報告書はCOP26前の各国の削減目標が実現しても1・5度を超えると指摘しています。
気温上昇を1・5度に抑えるには、すべての部門で「急速かつ大幅に、ほとんどの場合、即時に」排出量を削減する必要があると強調。エネルギー部門全体を通して排出量を削減するには、化石燃料使用全般の大幅削減、低排出エネルギー源の導入、省エネルギーなどの大規模な転換が必要だとしています。
この中で再生可能エネルギー導入のコストに言及し2010~19年の間に太陽光発電は85%低下し、風力発電は55%低下。太陽光発電導入は10倍以上増加していると指摘しています。
一方、追加的な削減対策をしない既設や計画中の石炭火力発電所などの化石燃料インフラが排出する温室効果ガスの排出量は1・5度に抑える排出量を上回るとしています。