しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年3月30日(水)

高校教科書検定

「強制連行」に意見多数

「政府見解に基づく」修正迫る

 文部科学省は29日、2023年4月から主に高校2年生が使う教科書の検定結果を公表しました。戦時中に朝鮮から日本に連れてこられた人たちについて「強制連行」との言葉を使った教科書に対し、「政府見解に基づいた記述」を求める検定意見が多く付きました。


写真

(写真)2023年度から主に高校2年生が使う教科書

 今回は、新しい学習指導要領で導入された「日本史探究」「論理国語」などの選択科目が初めて検定を受けました。

 「日本史探究」「世界史探究」などでは、「(朝鮮からの)強制連行」という用語に、「政府の統一的な見解に基づいた記述がされていない」として修正させる検定意見が付く例が多数ありました。昨年4月に閣議決定した「強制連行」「強制労働」の表現は不適切との政府答弁書に基づくものです。多くの出版社は「動員」「徴用」などの言葉に修正しました。

 「日本軍慰安婦」という用語を使った「日本史探究」の教科書には「日本軍と慰安婦の関係について誤解するおそれがある」との検定意見がつきました。出版社側は「日本軍」を削除する一方で、「1993年に政府は慰安所の設置・管理、慰安婦の移送への軍の直接的あるいは間接的な関与を認め」などと記述しました。

 今回の検定では、普通科・専門学科などに共通の8教科で189点の申請があり、すべて合格。農業、工業などの専門教科は52点の申請があり、50点が合格。2点は申請取り下げになりました。新教科書では新型コロナウイルスや成人年齢引き下げなども取り上げられました。

 教科書検定 出版社が編集した教科書について学習指導要領などの基準に沿っているかを文部科学省が審査する制度。基準に沿わないとされた部分には検定意見が付き、それに従って修正して合格しなければ教科書として使えません。2014年に、政府見解に基づいた記述にすることが検定基準に加えられました。


pageup