2022年3月28日(月)
侵略に対し中立ありえない
ロシアのウクライナ侵略に関する人道決議を採択した国連総会の議論から
23、24の両日、ロシアのウクライナ侵略に関する国連総会緊急特別会合が行われ、決議「ウクライナ侵略の人道的帰結」が140カ国という圧倒的多数の賛成で採択されました。決議は、ロシア軍の即時・完全・無条件の撤退を求めた2日の総会決議の履行と、深刻な人道危機の打開を強く求め、国際社会の確固とした意思を示しました。会合では、ロシアの名指しを避けた別の決議案も提案され、厳しい議論も行われました。一部の国の発言要旨を改めて紹介します。(要旨は各国政府発表や国連のプレス・リリースから作成。順不同)
オーストリア―中立国だが国際法違反に反対
政治化をさけ、決議はバランスをとり中立的な文言にすべきだ、という一部の国の代表の議論に、われわれは当惑している。これは人道決議で、武力攻撃と戦争犯罪による人々の苦しみに関するものだ。どうやれば、バランスや中立を求めるべきだとなるのか。被害者と侵略者の間のバランスを取るべきなのか。
オーストリアは中立国だ。どんな軍事同盟にも属してない。中立は価値観の中立を意味しない。勝手で正当化できない国際法の侵犯に直面した時に何らの立場もとらないということでもない。われわれは、明確なスタンスをとる。国際法と人道法の違反に反対し、国連憲章の違反に反対し、声を上げる。罪を犯した者に責任を取らせる取り組みを支持する。被害者と侵略者を区別する明確な文言を支持する。
マーシャル諸島―攻撃停止しなければ人道危機に対処できない
ウクライナで深刻化する人道的危機に対処する緊急の必要性を支持する。3月2日の総会決議が完全に履行されていない。ロシアによる敵対行為、特に都市の包囲によってさらに悪化した民間人や民間施設への攻撃を直ちに停止しない限り、深刻な人道的危機に効果的に対処することはできない。これらは意見ではなく、客観的な真実と証拠に基づいた議論の余地のない事実だ。ジュネーブ条約の重要な条項が侵害されている。
コロンビア―生存権侵害を非難、民間人保護を
マリウポリの光景は極めて残酷であり、いかなる説明でも正当化できない残虐行為である。ウクライナ国民の生存権に対する重大な侵害を非難し、民間人の保護を要求する。
緊急特別会合がロシアに対し、侵略をやめ、国際人道法、建設的対話、多国間主義の原則を尊重するよう訴えるよう呼びかける。これが使われるべき唯一の武器だ。加盟国は、この戦争の即時終結を達成し、さらなる人的被害を回避するために団結しなければならない。民間人を戦闘員と混同することは許されない。
アイルランド―侵略やめ対話と外交に転じよ
ロシアはこの総会の意思(2日の総会決議)を尊重することができなかった。それどころか、ウクライナへの侵攻を続け、人道危機を引き起こしている。安保理は、拒否権の結果、行き詰まったままであり、未曽有の人道危機に対応する行動をとることができないでいる。そのような中、総会に提出された決議案を歓迎する。ロシアに対し、ウクライナのさらに多くの人々が無慈悲な戦争の代償を払わされる前に、直ちに侵略をやめ、軍を撤退させ、対話と外交の道に転じるよう呼びかける。
パラグアイ―国際法尊重の道に戻るよう促せ
集中的な努力と敵対行為の終結を繰り返し求めているにもかかわらず、世界はウクライナで子どもを含む数百万人の人々の苦しみを目撃し続けている。
総会は、人道支援者の安全で妨げのないアクセスを保証しなければならない。パラグアイは、紛争の原因とその恐ろしい結果の両方に対処するため、当初決議案の共同提案国となることを決定した。加盟国は団結のメッセージを発信し、国際法を尊重する道へ戻るよう促すべきだ。