2022年3月24日(木)
所得税法等改定案
大門議員の反対討論 要旨
参院本会議
日本共産党の大門実紀史議員が22日の参院本会議で行った所得税法等改定案への反対討論の要旨は次のとおりです。
コロナ禍での中小企業支援策―実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」が50兆円規模で行われ、返済が一定期間猶予されましたが、コロナ禍が続き返済開始の見通しが立たない、新規融資も受けられないという過剰債務問題が中小企業に重くのしかかっています。
景気が上向き、資金需要が出てきたときに運転資金などが手当てできない資金繰り倒産が増加します。
こうした局面で最も効果を発揮するのは、売掛金を担保に融資する「売掛債権・担保融資」です。政府が公的支援スキームを創設すべく、早急な検討を強く要望します。
改定案反対の最大の理由は、格差是正に背を向けていることです。岸田文雄総理は自民党総裁選で金融所得課税強化を公約に掲げましたが、首相就任後に先送りしました。
「1億円の壁」の原因は金融所得への課税が分離課税の上に、特別に低い税率が適用されているためです。「1億円の壁」グラフと名付けたのは岸田総理ですが、最初につくったのは私です。2007年の予算委で“不公平税制の最たるものだ”と税率引き上げを求めました。政府は14年に税率を10%から20%に引き上げましたが、欧米では30%前後が当たり前です。金融所得課税見直しにも手をつけず新自由主義の弊害の是正などできません。
岸田総理は「新自由主義は経済成長をもたらしたが、弊害もあった」といいましたが、それは違います。
20年前の竹中平蔵経済財政担当相は、累進課税よりフラットな比例税率にした方が経済が成長すると主張しました。高額所得者への減税分が投資に振り向けられ、経済成長を加速させる―税制のトリクルダウン論です。
しかし、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスが21年1月、日欧米18カ国の50年間を分析したら、高額所得者減税は経済成長や失業率改善とは無関係で、格差を拡大しただけだと指摘しました。新自由主義そのものが弊害だったと言い換えるべきです。
富裕層をさらにもうけさせたのがアベノミクスの「異次元の金融緩和」政策です。日本の富裕層は原油、金属、食料品など商品先物市場への投資を増やしています。世界で原油、食料が急騰しているときに国民生活を苦しめてまでもうけるのは貪欲で醜悪です。こういう人たちに税金くらいは欧米並みに負担してもらうのは当然です。
同時に、物価高騰から国民のくらしを守る最も有効な政策手段は消費税の5%への減税です。70超の国や地域が減税に踏み切っており、いまこそ消費税減税を決断すべきです。