2022年3月19日(土)
福島・宮城県沖地震
先見えぬ不安・疲労
相馬の事業者ら「どうすれば…」
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深夜に襲った最大震度6強の地震から二晩を経た18日。福島県相馬市で生業(なりわい)を持つ人たちや避難所生活を送る住民は、先行きの見えぬ状態で続く片づけからの疲労や不安を抱えていました。(丹田智之、津久井佑希)
商売やめようか
「女房と『商売もうやめようか』と話している」
店内を片づけながら悲痛な表情で話すのは宗像(むなかた)孝雄さん(66)。妻の礼子さん(71)と一緒に80年以上続く「川合屋陶器店」を営む3代目です。自慢の商品は同県浪江町の伝統工芸品、相馬焼。細かいひびが入った青磁に馬の絵が描かれているのが特徴です。
入学シーズンや記念品用に入荷したばかりの陶器の多くが、今回の地震で割れました。店内には壊れた窓ガラスや壁の一部、割れた陶器の破片などが散らばっていました。
相馬焼は窯元に発注してから制作までに1カ月以上かかります。
孝雄さんは「どうしたら良いんですかね」と途方に暮れた様子。礼子さんも「当分の間、商売はできるわけないよ」と声を落とします。
コロナ禍で収益が減るうえ、さらに今回の地震による店舗修理と商品の仕入れで「かかる費用は数百万円。これからどうやって食べていけばいいのか…」。
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相馬市内で旅館を経営する男性(49)は「学生団体などの予約が入りはじめた矢先の地震だった」。
防火扉が外れて倒れ、建物のゆがみもあります。融資を受けても、今後の再建の見通しがなければ営業継続は「厳しい」といいます。
朝からの雨は昼前に雪に変わり、凍える寒さの一日。正午時点で避難所の「スポーツアリーナそうま」には43世帯、90人が避難していました。
地震直後から避難しているという77歳の女性は、続く断水で避難所のトイレが使えない不便さを訴えます。
「広い駐車場を挟んだ向かいの市役所の2階のトイレを使わないといけない」
風呂に入りたい
自宅が全壊に近い状態になり着の身着のまま避難した会社員の男性(60)は「布団を敷いても床が固いし、物音が気になりあまり眠れない。被災してから一度も入浴できていない。早く風呂に入りたい」と疲れ切った様子です。「いつまでここにいられるかわからない」と不安げに話し、こう続けました。
「早く快適に暮らせる仮設住宅に移りたい」