2022年3月19日(土)
難民 人道危機悪化
UNHCR「第2次大戦以降最大」
独りで国境越える子も
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ロシア軍はウクライナ侵略で病院や学校、保育園、避難施設など民間人を標的にした無差別攻撃を強め、多くの民間人が犠牲になり、住居を追われています。戦闘が長引けば人道危機がさらに深刻化する恐れがあり、国際社会の支援が急務になっています。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、18日時点で国外に逃れた難民は327万人を突破。1日あたり約10万人増えており、第2次世界大戦以降で欧州で最大の難民危機が広がっています(地図)。国連は、最終的に難民がウクライナ全人口の約1割にあたる400万人を超えると推計していますが、UNHCR駐日事務所の担当者は「戦闘が続けばそれより増えるのではないか」と懸念しています。
ほぼ毎秒1人
深刻な危機に陥っているのは子どもたちです。ウクライナ政府はロシア軍の攻撃で子どもが100人以上死亡したとしています。国連児童基金(ユニセフ)の報告(15日)によると、難民のうち150万人超が子どもで、「毎秒ほぼ1人のペースで子どもが難民になっている」と懸念を示しました。
日本ユニセフ協会の担当者は、大勢の難民が移動し混乱する中で、家族と離れ離れになって孤立する子どもが増えているといいます。もともと児童養護施設で暮らす子どもがウクライナ国内に約10万人いるとされます。「泣きながら独りぼっちで国境を越える子どももいる。そういった子どもは『国際養子縁組』という名の下で人身売買に巻き込まれる場合もあり、急いで保護しなければならない」と強調します。
戦闘行為を目撃したり、家族と離れたりした子どもへの心のケアも急務です。ユニセフは、避難所に学習できる施設を設置し、学習の遅れを防ぐとともに日常に近い環境をつくることで心のケアをはかっています。
また、ウクライナ国内にも住居を追われ避難している人が数えきれないほどおり、戦闘に巻き込まれる危険が高まっています。UNHCR駐日事務所の担当者によると、戦闘の激化でポーランドからの輸送ルートの安全確保が難しくなり、トラックや運転手の不足で、現場に支援物資を届けることが困難になっているといいます。
支援長期的に
ウクライナの難民支援で最も重要なのは、迅速に幅広い支援ができる現金です。日本ユニセフ協会の担当者は「人道危機は悪化しており資金などの支援はまだまだ必要になる。戦闘が落ち着いても、復興支援が必要になるので長期的な支援が重要だ」と語ります。