2022年3月18日(金)
主張
宮城・福島震度6強
地震への警戒いっそう強化を
福島県沖を震源とするマグニチュード(M)7・4の地震が発生し、宮城県登米(とめ)市、福島県南相馬市などで震度6強の揺れを観測しました。東北を中心に家屋などに被害を与え、死者、負傷者も出ています。東北新幹線で走行中の車両が脱線し、東北自動車道や常磐自動車道では路面に大きな亀裂が入りました。強烈な揺れで、発生から11年の東日本大震災を思い起こした人も少なくありません。被災者支援と復旧を急ぐとともに、地震への警戒と備えを一層強めることが不可欠です。災害から国民の命を守る政治の役割が極めて重要になっています。
昨年も深夜に大きな揺れ
宮城県と福島県で最大震度6強を観測したのは、昨年2月13日深夜に福島県沖で起きたM7・3の地震以来となります。大きな揺れに見舞われた地域は、昨年の地震で被害が出た自治体と多くが重なっています。東日本大震災以降、東北や関東の沖合などで地震が多発しており、警戒を緩められないことを改めて示しました。
家屋やブロック塀などが崩れました。停電は広い地域に及びました。断水も発生し、住民の暮らしに影響を与えています。携帯電話の通信障害もありました。ライフラインの復旧が急がれます。
揺れの強かった地域では家屋の耐震強度が弱まり倒れる危険が高まっています。地盤が緩んでいたり、積もった雪が不安定になっていたりする恐れがあります。新たな土砂災害や雪崩への警戒は怠れません。
気象庁は、地震発生から1週間程度、最大震度6強程度の地震への注意を呼びかけています。「とくに今後2~3日程度は、規模の大きな地震が発生することが多くある」としています。
今週末は低気圧が本州付近を進むため荒天が予想されます。新たな被害を招かないための危険箇所の点検や応急の対策などを講じることも必要です。
建物は壊れてなくても屋内で家具や食器などが散乱し、危なくなっている家もあるとみられます。片づけができない高齢者世帯もあります。被災者が抱えている困難をきめ細かく把握し、自治体がニーズに応じた支援をできる仕組みを強めることが大切です。損壊した家屋の修理などへの財政的支援が柔軟にできるよう制度の弾力的運用もすべきです。被災者の住宅再建の支援制度の抜本的拡充は欠かせません。
営業中の新幹線が脱線したのは2004年の新潟県中越地震以来です。17両編成のうち16両で車輪が線路から外れ、一部区間では線路がゆがみました。昨年2月の地震の際、東北新幹線は電柱が損傷し10日ほど不通になりましたが、今回は全面復旧まで長い日数がかかるのは必至です。鉄道耐震化など公共交通機関の安全対策を強めなければなりません。
原発への懸念ぬぐえない
東京電力福島第1、同第2原発、東北電力女川原発では核燃料プールの冷却が一時停止するなどしました。強い地震のたびに国民は原発事故への不安を強めています。昨年の福島沖地震では東京電力は原発で問題が発生したことをすぐ公表せず、批判を浴びました。
地震が多発する日本で原発を動かすことはあまりにも危険です。「原発ゼロ」に進むことが急務となっています。