2022年3月17日(木)
主張
自民党大会
危機を口実にした改憲許すな
自民党の定期大会が13日に開かれました。岸田文雄首相(同党総裁)は大会での演説で、ロシアによるウクライナ侵略を口実に、日本の「防衛体制の見直し・強化」と「日米同盟のさらなる強化」の必要性を訴えました。さらに、自衛隊を憲法9条に明記するなど同党の改憲「4項目」を「今こそ取り組まなければならない課題だ」と強調しました。しかし、その狙いは、「敵基地攻撃能力」の保有であり、海外での武力行使を全面的に可能にすることです。ロシアと同じように、日本が侵略国になる危険を生むものに他なりません。
日本が侵略国になる危険
岸田氏は演説で、ロシアのウクライナ侵略という「今回の暴挙をわが事として捉え、対応していかなければならない」と強調した上で、政府の「国家安全保障戦略」など3文書の見直しを進め、「防衛力」を強化し、「世界屈指の同盟関係」である日米同盟をさらに強固にすると表明しました。
大会で採択された2022年の運動方針も「わが国の防衛力強化と日米同盟の抑止力・対処力の向上を図るため、新たな国家安全保障戦略・防衛計画の大綱・中期防衛力整備計画を、本年末にかけて策定する」と明記しました。
「国家安全保障戦略」など3文書の改定作業で最大の焦点になっているのは、岸田氏が繰り返し言及している「敵基地攻撃能力」保有の検討です。
岸信夫防衛相は、「敵基地攻撃能力」の保有について、相手国の領空に自衛隊機が侵入し爆撃することも、検討の選択肢から「排除しない」と国会で答弁しています。安倍晋三元首相は、「敵基地攻撃能力」とは「相手国を殲滅(せんめつ)できる打撃力だ」という趣旨の発言をしています。これが、憲法9条はもちろん、国連憲章に違反する侵略戦争につながり得る恐れがあることは明白です。
自民党内などでは、台湾をめぐる米国と中国の軍事衝突を想定し、米軍を支援するために自衛隊を戦闘に参加させようとする動きも強まっています。
加えて岸田氏が演説で、自民党の示している「自衛隊の明記」など改憲「4項目」の実現が喫緊の課題だとして、憲法改悪への意欲を改めて示したことは重大です。
「自衛隊の明記」は、政府が、安保法制=戦争法(15年成立)の下でも、集団的自衛権の全面的な行使や、武力行使を目的とした海外派兵はできないと説明せざるを得なかった、憲法9条の規範力を全て取り払おうとするものです。これを許せば、海外での武力行使は完全に解禁され、無制限になってしまいます。
参院選で共産党躍進こそ
岸田氏は、日米同盟強化などの「外交・安全保障を進めるためには、何といっても政治の安定が不可欠だ」とし、「来たる参議院選挙も自公の連携の下、勝利を」と呼びかけました。また、「憲法改正」など「大きな歴史的な変化に立ち向かっていく。そのための『力』を得るたたかいが来たる参院選だ」と力説しました。
岸田・自公政権が米国に追従し、突き進もうとしている「海外で戦争する国」づくりを阻止することが必要です。今夏の参院選で、米国言いなり政治をただす抜本的な対案を掲げる日本共産党が躍進することこそ、その最大の力です。