2022年3月12日(土)
「敵基地攻撃そのもの」
アラスカ実践訓練 穀田氏が批判
思いやり予算が衆院外務委可決
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衆院外務委員会は11日、在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)に係る特別協定を日本共産党以外の賛成多数で可決しました。日本共産党の穀田恵二議員は「日米地位協定上も根拠がない。道理なき負担だ」として反対しました。質疑で穀田氏は、特別協定に基づく米軍機の訓練移転先として米アラスカ州が追加された問題を追及。想定されている日米の「実践的な演習」は、「『敵基地攻撃』訓練そのものだ」と批判しました。
林芳正外相は、アラスカを新たな訓練移転先としたのは「実践的な演習・訓練の重要性」のためだと説明しながらも「詳細は明らかにできない」と拒否しました。
穀田氏は、航空自衛隊が毎年参加している共同演習「レッド・フラッグ・アラスカ」について、在日米軍司令部が2017年6月の発表文書で「攻勢対航空訓練を行う」と記していると指摘。また、空自が1973年に翻訳し、訓練資料として使用していた米空軍作成の「ドクトリン」(教範)に、「攻勢対航空は、敵国領土内の航空機やミサイル、航空基地、航空戦力を撃破するためのもの」と記載していることを示し、追及しました。
鬼木誠防衛副大臣は「部内向けの文書であり政府見解ではない」としつつも、2018年版のドクトリンに「攻勢対航空」の記述があると認めました。
穀田氏は、空自が06年にまとめた「航空自衛隊ドクトリン等に関する調査研究」で「攻勢対航空」を「敵基地攻撃」と記していると指摘。15年には中谷元防衛相(当時)が衆院特別委員会で「航空自衛隊が職務遂行の必要に応じて作成した資料だ」と認めたことに言及しました。
さらに、政府が敵基地攻撃について、「相手国の領域でミサイル基地を破壊し、ミサイル発射能力を無力化。さらに攻撃を加える」と説明していることと合わせれば、「『レッド・フラッグ・アラスカ』で行われている『攻勢対航空』は敵基地攻撃そのものだ」と追及しました。
穀田氏は、1月7日の日米2プラス2で日本が「敵基地攻撃能力」の保有検討を「対米公約」として表明したことを指摘。アラスカでの実践演習は、政府の言う「自衛隊と米軍が肩を並べて立ち向かっていく」ものであり、まさに戦争する態勢づくりの一環だと批判しました。