2022年3月9日(水)
軍事侵攻の即時中止を
“病院・学校を攻撃”
安保理会合 ロシア批判相次ぐ
【サンフランシスコ=島田峰隆】国連安全保障理事会は7日、公開会合を開き、ロシアによる侵略で深刻化するウクライナの人道状況について協議しました。国連幹部や各国大使からは、病院や学校も攻撃対象にされて民間人犠牲者が増えているとして、ロシアに対して軍事侵攻の即時中止を求める声が次々と上がりました。
グリフィス国連事務次長(人道問題担当)は、170万人以上が国外へ避難したと指摘。ウクライナ国内では店は閉まり、電気も水も遮断され、空から爆弾を落とされ、電話も切断されていると強調し、民間人や民間施設への攻撃をやめるよう求めました。
国連児童基金(ユニセフ)のラッセル事務局長は、すでに少なくとも27人の子どもが死亡し、避難民の半数は子どもだと指摘。妊婦は医療用品が限られるなかで仮設の産科病棟で出産していると述べました。「紛争当事者は子どもを守る法的、道義的義務がある」とし、軍事行動の即時停止を要求しました。
米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は、ロシア軍は民家、病院、学校、児童養護施設などを破壊し、原子力発電所も攻撃したと批判。「軍を撤退させ、外交を通じて緊張を緩和するようロシアに求める」と述べました。避難民が増えるなか、ロシアに対し人道支援を妨害しないという「明確な約束」を求めました。
ウクライナのキスリツァ国連大使は、ロシアの攻撃で「ウクライナは人道的大惨事の瀬戸際にある」と強調。ロシア軍は211以上の学校に危害を加えたほか、「人道回廊」に指定された道路や避難民も攻撃対象にしていると非難しました。
このほか「ウクライナにこれ以上悲劇をもたらす前に戦争をやめるようロシアに求める」(英国)、「民間人居住地域での敵対行為の即時中止を求める」(ガーナ)、「今回の人道危機の責任はロシアにのみある」(ノルウェー)と厳しい批判が続きました。ロシアのネベンジャ国連大使は「ロシア軍は民間人を攻撃していない。ウクライナの過激派とネオナチが市民を『人間の盾』として使っている」などと強弁しました。