しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年3月4日(金)

主張

対ロ非難総会決議

無法許さぬ世界の意思は明白

 ウクライナ情勢に関する国連総会の緊急特別会合は141カ国の賛成でロシアの侵略を非難する総会決議を採択しました。ウクライナ侵略を国連憲章違反と断じ、即時・完全・無条件の撤退を世界の圧倒的多数がロシアに求めた画期的な決議です。

相次いだ憲章を守れの声

 国連憲章は第2条4項で、他国に対する武力による威嚇、武力行使を禁止しています。総会決議は、ロシアの侵攻が同項違反であるとして「最も強い言葉で遺憾の意を表す」と明記しました。ウクライナ東部の親ロシア勢力支配地域の「独立」を一方的に承認したことについても、国連憲章が定めた加盟国の領土保全と主権を侵す行為とし、即時撤回を求めました。ロシアが核戦力の態勢強化を決定したことも非難しました。

 反対はロシアを含む5カ国にすぎず、同国の孤立は明らかです。ロシアがウクライナのクリミア半島を併合したときの非難決議が賛成100カ国だったことと比べても無法を許さない国は増えています。今回、決議の共同提案国は96の多数に上り、国際社会のより結束した意思を示しました。

 ウクライナ侵略は、国連安全保障理事会で拒否権を持つ常任理事国が国連憲章を踏みにじった異常な行為です。安保理ではロシアが拒否権を発動して非難決議を葬りました。しかし、国連加盟国の多数が拒否権の乱用だとして特別会合を開き、総会決議をあげました。もはや大国だけで世界を動かせるものではありません。

 特別会合の討論では圧倒的多数が国連憲章、国際法にもとづいてロシアを徹底的に批判しました。パプアニューギニアは「わが国は小さな途上国であり、国連憲章を含む国際秩序と国際法に依拠している」、シンガポールは「力は正義だという国際秩序は小国を危険にさらす」と述べ、すべての国、特に小国が国際法順守で団結することを強調しました。

 多くの小国や非同盟諸国が声を上げ、力による支配を拒否しました。今日の国際社会で大国主義・覇権主義の正当化が通用しないことが示されました。

 プーチン政権による核の威嚇については、核兵器禁止条約の批准国などが「国際法、核不拡散条約違反」(コスタリカ)、「すべての人類にとっての脅威」(オーストリア)と国連憲章、国際法をもとに批判しました。

 核攻撃の脅しに核で対抗しようとすることは同じ立場に立つことになり、世界を核戦争の危機に落としかねません。核兵器禁止条約が核抑止力論を打ち破る上で大きな力を発揮していることは重要です。

惨劇から救う緊急行動を

 安保理決議と異なり、総会決議には国際法上の強制力はありません。しかし、総会決議は「戦争の惨劇から救うために緊急の行動が必要だ」と呼びかけています。

 侵略を止めるために最も大きな力となるのは国際世論です。ロシア国内を含め世界で侵略反対の運動がわき起こっています。総会決議はロシアの行為に大義もないことを国際社会の総意として確認しました。たたかうウクライナ国民と連帯し「侵略をやめろ」「国連憲章を守れ」との声でプーチン政権を包囲することが何より求められます。


pageup