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2022年2月28日(月)

ウクライナ侵略を利用

国連・9条への攻撃はどこに行き着くのか

戦後国際秩序の否定

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(写真)ロシアによるウクライナ侵略に抗議する人たち=27日、東京・新宿駅西口

 ロシアによるウクライナに対する侵略は、ウクライナ市民の平和と命を踏みにじると同時に、国連憲章に基づく世界の平和秩序を根底から脅かしています。この危機のもとで、一部メディアや日米同盟強化論者から「9条で国は守れるのか」「国連は無力」などとする攻撃が強まっています。(中祖寅一)

「力の論理」の信奉 プーチンと安倍氏

 これに対し日本共産党の志位和夫委員長は「この危機にあって、憲法9条を攻撃し、国連は無力と言いつのる議論の行き着く先はどこか。『力の論理』をひたすら信奉することだ。それをいま、最もひどい形で実践しているのは誰か。(ロシアの)プーチン大統領だ」と指摘。「『力の論理』に『力の論理』で応えることを否定したのが、国連憲章であり、憲法9条ではないか」(ツイッター)と批判しています。

 ウクライナ侵略の事実を前に、紛争の平和解決、武力行使の禁止という根本原則を嘲笑し「力には力を」といって「力の論理」にひたすら陥ってしまえば、プーチン大統領と同じ立場に身を置くことになります。それは、紛争の平和的解決を定めた戦後の国際秩序の根本的否定に行き着きます。

 そうした姿を体現しているのが安倍晋三元首相です。安倍氏は27日放送の民放番組で、米国の核兵器を自国領土内に配備して共同運用する「核共有」について議論すべきと主張するとともに、プーチン大統領について「(NATOへの)基本的な不信感のなかで、領土的野心でなくロシアの防衛安全の確保という観点から行動を起こしているのだろう」と語りました。むき出しの領土拡張主義=覇権主義の行動を前にして、「領土的野心でなく」とプーチン氏を擁護する安倍元首相。両者は「力の論理」の信奉という点で、固い友情に結ばれているようです。

平和のルールの再構築こそ必要

 いま問われているのは、深刻な危機と逆流に際し、いかにして平和のルールを実効的にし、再構築するかではないでしょうか。ロシア国内を含め世界の人々が「戦争をやめろ」とプーチン・ロシアによる侵略に糾弾の声をあげています。この声を広げ団結させ、侵略をやめさせるとともに、より平和な世界への動きをつくりだすことが求められています。事態を9条攻撃に利用するのは、全くの逆行です。

 憲法9条には、(1)何よりも日本が再び侵略国家にならないという決意とともに(2)自ら戦争を放棄し戦力保持を禁止することで世界平和の先駆となろうという決意が込められています。

 いま中国や北朝鮮の覇権主義的なふるまいを前に、「力には力」として日本が軍事力を強化する動きが強まっています。軍事対軍事の対立をエスカレートさせれば、再び侵略国家になる危険さえ憂慮すべき事態です。

侵略国家になるのか

 とりわけ「敵基地攻撃能力」の保有は、文字通り相手国領域内での一連の軍事行動を可能にするものです。「撃たれる前に撃つ」という事の性質から言っても、国連憲章に違反した先制攻撃との区別はつきません。岸信夫防衛相は、敵基地攻撃で相手国領域まで行っての「空爆」を「排除しない」と国会で明言しました。安倍晋三元首相は、「敵基地攻撃能力」の本質は“相手国をせん滅する打撃力である”と公言しています。

 日本がそうした打撃力を独自に持ち、「台湾有事は日米同盟有事」などとあおって、米軍と肩を並べて攻撃参加する―これが9条に全面的に違反するとともに、国連憲章に違反する他国への侵略となりうることは明白です。

 志位氏がロシアのウクライナ侵略を受けて、「プーチン氏のようなリーダーが選ばれても、他国への侵略ができないようにするための条項が、憲法9条なのです」といち早く発信したのも、日本自身が再び侵略国家になる危険が現実にあることを踏まえての警告です。

一部の政治家の“恥ずべき言動”

 これに対して自民党や日本維新の会の一部の政治家から「9条を持っていれば日本の平和が守れるといっていたではないか」などと、事実をねじ曲げた的外れな攻撃の言葉が発せられていますが、これは、志位氏の警告が正鵠(せいこく)を射ていることの証明です。

 志位氏は、ツイッターに次の投稿を行いました。

 「憲法9条を学ぼうとも、理解しようともせず、ウクライナへの侵略を止めるために声をあげることもなく、ウクライナ問題を利用して憲法9条をおとしめる。一部の人々の言動は、恥ずかしいことです」


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