2022年2月10日(木)
主張
那覇軍港での訓練
米軍は横暴勝手を即刻やめよ
米海兵隊が那覇港湾施設(那覇軍港)で垂直離着陸輸送機MV22オスプレイや大型輸送ヘリCH53Eなどを使った訓練を沖縄県や那覇市の中止要請を無視して強行しています。同軍港には昨年も米本国への搬送のためオスプレイやCH53Eが飛来し、県や市が強く抗議していました。今回は訓練のための使用であり、米軍の横暴勝手はエスカレートするばかりです。訓練は即刻中止すべきです。
基地負担いっそう増大
米陸軍が管理する那覇軍港での訓練は8~13日の予定とされます。沖縄を拠点にする第31海兵遠征隊(31MEU)の隊員約250人が大使館警護や非戦闘員退避などの訓練を行うとしています。31MEUが同軍港でこうした訓練をするのは初めてといいます。
「(那覇)軍港は国道に面し、すぐ近くには那覇空港やプロ野球巨人がキャンプを張る沖縄セルラースタジアム那覇などがあり、多くの県民の生活圏」(沖縄タイムス9日付)です。那覇市の城間幹子市長は、多くの民間機が発着する那覇空港に近接した同軍港への航空機の飛来は「市民・県民をはじめ多くの観光客などの安全性を脅かすもので到底容認できない」と批判していました。(7日)
那覇軍港には昨年11月、オスプレイとCH53Eが突如飛来し、運搬船に積み込まれ、機体整備のために米本国に輸送されました。
沖縄の施政権返還時に基地の使用条件などを定めた1972年の日米合意(5・15メモ)は、那覇軍港使用の主目的を「港湾施設および貯油所」としています。玉城デニー沖縄県知事は「航空機の使用を目的としていない那覇港湾施設にオスプレイを飛来させたことは、周辺住民をはじめ沖縄県民に大きな不安を与える」とし、「今回のような運用が二度と起こらないよう厳重に抗議」していました。
デニー知事は、今回の訓練も「港湾施設の主目的とは考えられず、このような米軍基地の使用を許せば、県民の基地負担が増大する」とし、「5・15メモに記載されている使用主目的は厳格に運用されるべき」(8日)だと強調しています。岸田文雄政権が「港湾の使用が想定される運用に関わる訓練と考えられ、那覇港湾施設の使用の主目的に沿ったものだ」(松野博一官房長官、同日)と米軍を擁護しているのは許されません。
今回の訓練が台湾有事など中国との戦争を想定しているとの指摘が上がっているのも重大です。
実際、米軍は3~7日、中国が軍事戦略上「第1列島線」と呼ぶ地域に含まれる沖縄本島や宮古海峡、台湾に接するルソン海峡の周辺で、空母1隻と強襲揚陸艦2隻をはじめ多数の艦船、航空機が参加した大規模な訓練を実施しています。31MEUも参加しました。「『第1列島線』での潜在的な敵対者による侵略的な行動に対抗する準備」(米インド太平洋軍ニュース4日付)が目的とされ、中国を念頭に置いているのは明らかです。
対米追従の姿勢やめよ
米中対立の深刻化が沖縄での米軍訓練の激化につながっています。日米地位協定が米軍による基地の自由使用を認めているのも大きな問題です。対米追従をやめ、東アジアを平和と協力の地域にする外交努力や地位協定の抜本改定を求めることが、沖縄の基地負担軽減のためにも重要です。