2022年1月29日(土)
「赤旗」創刊94周年(22.2.1)に寄せて
事実の積み重ねに説得力
ジャーナリスト・和光大学名誉教授 竹信三恵子さん
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「赤旗」と聞くと、政党のイデオロギーを発表する媒体と思う人もいるかもしれません。ただ、ネット検索をしていて「データがしっかりした使える記事だな、と思うと『赤旗』だった」ということが、しばしばあります。
安倍・菅政権下での「桜を見る会」や「学術会議問題」のスクープは有名になりましたが、経済関係でも視点の鋭さでは群を抜いています。
岸田文雄首相の「新しい資本主義」をめぐる連載でも、「成長」や「賃上げ減税」のうたい文句の影にある大手企業優遇のリスクや、「男女の賃金格差解消」を名目に「シフト制労働の普及」などの人件費削減策が提唱されるなど、隠れた格差拡大策が相次いで指摘されています。
これらを支えるのは、「一線の働き手や生活者のために適切な政策かどうかを検証する」という明確な目的意識と、国会議員による調査権限などの強みを生かした事実とデータの積み重ねによる説得力でしょう。
とはいえ、「赤旗」の報道が異彩を放つのは、事実を捏造(ねつぞう)する政治を、人々があきらめの中で受け入れ始め、マスメディアもそれに追随するかのような状況が広がっているからです。そんな「赤旗の活躍」を喜ぶべきなのか。複雑な思いも抱きつつ拍手を送っています。
(寄稿)