2022年1月26日(水)
論戦ハイライト
コロナ対策強化し、貧困と格差是正を
衆院予算委 宮本徹議員の質問
日本共産党の宮本徹議員は25日の衆院予算委員会で、感染爆発している新型コロナへの対策や岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」についてただしました。岸田首相は、はぐらかしの答弁に終始。コロナ対応では見通しが甘く後手後手で、岸田首相自身が述べた「新自由主義」の「弊害」の是正も口先だけで、財界のもうけ優先の自民党政治の継続にすぎないことが浮き彫りになりました。
コロナ対応
宮本氏 検査キット「安定供給の仕組みを」
厚労相 1日80万回の増産を要請
宮本氏 「あまりにも後手後手だ」
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新型コロナウイルスのオミクロン株の急拡大で発熱外来がひっ迫し、検査の予約が取れないといった声があふれています。
宮本氏は、医師の感染など経営上の不安や、補助金がなくなったため、発熱外来の開設を「様子見」しているところもあると紹介。昨年10月に2500円が加算された一方で、昨年12月に抗原検査、PCR検査の診療報酬が削減されたと告発し、発熱外来を増やすことを真剣に考えるよう求めました。
その上で、医療現場から抗原検査キットの不足で悲鳴の声があがっているとただしました。
宮本 症状がある人の診療・診断のため、優先して安定供給する仕組みが必要だ。
後藤茂之厚生労働相 メーカーに対し1日80万回分の増産を要請した。
宮本氏は、昨年夏の第5波の時、神奈川県での各家庭への検査キットの配布の取り組みを示し、同様の取り組みを国として行うよう提案したことに触れ、あまりにも後手後手すぎると批判。「検査して診断するのは治療につながる出発点だ」と指摘し、あらゆる手だてを講じ検査キットを確保するよう求めました。
医師・看護師などの国家試験が来月に迫る中、受験生は新型コロナにり患すれば受験できない問題で宮本氏は、2014年の看護師国家試験では、大雪の影響で受験できなかった人のため追加試験を行ったことをあげ、次のように迫りました。
宮本 医師・看護師等の国家試験について、新型コロナにり患して受験できない方にも、追加試験などの機会を認めるべきだ。
厚労相 緊急事態宣言下の昨年も行っていない。本年も追加試験の実施は難しい。
宮本氏は、「コロナ感染は自己責任ではない」と強調。医療現場はコロナ禍により深刻な疲弊状況にある中、使命感を持って入職しようとする人がいる時に、国は人材確保に努力しないといけないと迫りました。
新自由主義の弊害
宮本氏 「派遣自由化が貧困と格差を広げた一因」
厚労相 「非正規の待遇改善が必要となった点もあった」
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「日本経済に埋め込まれていた労働法制や社会保障、直接税中心の累進課税などを次々と壊し、格差と貧困を広げてきたのが、歴代自民党政権ではないか」―。宮本氏は、岸田首相が施政方針で「新自由主義のさまざまな弊害を是正する仕組みを資本主義の中に埋め込む」と述べた点を追及。その弊害の最たるものとして、労働者派遣と有料職業紹介の原則自由化を挙げました。
宮本氏は、1999年、労働者派遣の原則自由化以来、派遣労働者が雇用の調整弁として扱われ、コロナ禍で多くの派遣労働者が仕事を失ったと指摘しました。
宮本 派遣の原則自由化が雇用の非正規化・不安定化を広げ、貧困と格差を広げた一因だとの認識と反省はあるか。
厚労相 多様な雇用の機会につながったが、非正規雇用労働者の待遇改善が必要となった面もあった。
後藤厚労相は、労働者派遣法の原則自由化の弊害を一部認めながら、根本的な反省は示さずじまい。宮本氏は「『弊害を是正』というのであれば、派遣法を改正し、非正規から正規雇用への転換を行うべきだ」と述べました。
続いて宮本氏は、労働者派遣と同時に全面自由化された有料職業紹介について、紹介手数料の上限が廃止され、人材紹介会社の手数料収入が増大したと告発しました。
宮本 2014年と比べて、人材紹介会社が手にした手数料収入は、いくら増えているか。
厚労相 介護サービスの職業の紹介手数料収入は、14年度で約25億円、19年度では約218億円。保育士は14年度で、約12億円、19年度で約128億円だ。
宮本氏は、税金や保険料を財源とする公的分野について、紹介手数料の上限規制を設けるよう要求。ところが、後藤厚労相は、「一律に上限を設けることは慎重な検討が必要だ」と拒否しました。
宮本氏は「新自由主義の弊害を具体的に指摘しても正さない」と批判。「新しい資本主義」は、財界のもうけ優先の自民党政治の継続ではないかと述べ、根本的な転換を求めました。
男女賃金格差
宮本氏 「開示だけでなく格差是正の義務付けを」
首相 答弁せず
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宮本氏は、岸田首相が男女の賃金格差を有価証券報告書の開示項目にするとし、女性活躍推進法でも開示の充実を表明したことは、「一歩前進」と評価しました。そのうえで、開示の情報をどう生かし、賃金格差是正のために何をするかだと追及しました。
宮本氏は女性活躍推進法で男女の賃金格差の把握が義務付けられていないと指摘。女性労働者への機会提供やワークライフバランスの指標などたくさんの項目から企業が一つ、二つを選択する仕組みであり、項目に男女の賃金格差を加えても公表は企業任せになるとして、次のように迫りました。
宮本 男女賃金格差を必ず把握すべき基礎項目に加え、基礎項目の公表を企業に義務付けるべきだ。
首相 (公表の義務付けを含め)具体的に検討し、速やかに着手する。
宮本氏は1999年3月まで有価証券報告書にも男女別の従業員の平均給与月額が開示されていたが、大きな男女の賃金格差があったと指摘。「開示だけでなく、格差是正を義務付ける仕組みが必要だ」と求めましたが、首相は答弁しませんでした。
さらに宮本氏は、経済開発協力機構(OECD)諸国中、日本だけが女性の4年制大学・大学院への進学率が男性より低いと指摘。高等教育を受けた男女の生涯収入の格差が非常に大きいことがあると述べ、首相の認識をただしました。
宮本 男女賃金格差が女性の進路選択を狭める大きな要因の一つになっているとの自覚があるか。
首相 男女の賃金格差が女性の進路選択に影響を与えると認識している。
宮本氏は、「社会の半分を占める女性の力を、入口から発揮させない国になってしまっている。社会にとってたいへん大きな損害だ」と指摘し、「土台の賃金格差の是正をはじめ、あらゆる面でのジェンダー平等を進めてこそ、結果として、社会は住みよくなり、経済も発展する」と訴えました。