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2022年1月24日(月)

主張

気候危機の打開

省エネ・再エネ推進する道こそ

 岸田文雄首相は17日、国会の施政方針演説で、気候変動問題を「資本主義の負の側面が凝縮している」「克服すべき最大の課題」としながら、肝心の2030年度の二酸化炭素(CO2)排出削減目標を引き上げる姿勢を示しませんでした。日本の削減目標「13年度比46%」は、国際水準から大きく立ち遅れています。CO2を多く排出する石炭火力発電、危険な原発にも固執しました。これで「脱炭素の実現」と言っても説得力がありません。省エネルギーの推進と再生可能エネルギーの普及への転換が不可欠です。それは経済を強くすることにもつながります。

「大変革」というのなら

 首相は、脱炭素について「エネルギー供給構造の変革だけでなく、産業構造、国民の暮らし、地域のあり方全般にわたる、経済社会全体の大変革に取り組む」と述べました。しかし、石炭火力発電からの撤退期限を示しません。アンモニアを混ぜて使う新技術などで、石炭火力の延命もはかろうとしています。「革新原子力」を進めるとし、原発頼みも改めません。自民党政治が続けてきた旧来型のエネルギー政策を切り替える意思がないことは重大です。

 日本自動車工業会は、火力発電偏重の是正がないと、製造時にCO2排出量が多い日本生産の車の輸出ができなくなり、約100万人の雇用が失われ、26兆円の経済損失になると推計しています。首相も「危機感を共有」と述べました(20日、日本共産党の志位和夫委員長への衆院本会議答弁)。そう認めるのなら、石炭火力依存をやめ、排出削減目標を引き上げて責任を果たすべきです。

 日本共産党が昨年発表した「気候危機打開2030戦略」は、30年度までにCO2排出量を10年度比で50~60%削減する目標を掲げました。エネルギー消費を4割減らし、再エネで電力の50%をまかなうという提案です。

 省エネはCO2削減にとって、極めて重要です。日本は、1970年代のオイルショックを経て80年代まで、世界先進と言える取り組みをしてきましたが、バブル崩壊後はエネルギー消費量が増えるなど立ち遅れています。さまざまな産業でエネルギー効率を上げる余地は多く残されています。それは大規模に省エネを進める条件があることを示しています。

 企業にとっても省エネは中長期的な投資によりコスト削減などをもたらします。これは人件費削減という経済全体に打撃となる「効率化」とは全く違います。エネルギー節約効果は家計の負担減にもなります。

貧困・格差是正と一体で

 再エネ普及にも大きな可能性があります。政府試算でも日本の再エネ潜在量は、現在の国内の電力需要の5倍です。30年までにエネルギー需要の約40%を削減する省エネと、電力の44%を再エネでまかなう政策を実現すれば、年間254万人の雇用が生まれ、国内総生産を205兆円押し上げるとの研究グループの試算もあります。

 脱炭素化、省エネ・再エネ推進は、生活水準の悪化や我慢を国民に強いるものでなく、新たな雇用をつくり、経済を活性化させる持続可能な成長への道を開きます。

 大企業の利益優先でなく、貧困と格差の是正と一体で進めていくことがなにより重要です。


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