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2022年1月22日(土)

小池書記局長の代表質問 参院本会議

 日本共産党の小池晃書記局長が21日の参院本会議で行った代表質問は次の通りです。


写真

(写真)代表質問に立つ小池晃書記局長=21日、参院本会議

 日本共産党の小池晃です。会派を代表して、岸田文雄総理に質問します。

コロナウイルス・オミクロン感染の爆発的広がり――緊急支援の抜本的拡大を

中小業者やフリーランスにまともな補償がない

 新型コロナウイルス感染症は、オミクロン株への変異で爆発的な広がりをみせています。

 本日、まん延防止等重点措置が16都県に拡大されました。この2年間、感染拡大のたびに営業自粛などを求められてきた中小業者やフリーランスの皆さんからは、まともな補償もないことに怨嗟(えんさ)の声が上がっています。

 昨年11月には「月次支援金」が終了し、必死の資金繰りで年を越したにもかかわらず、年明け早々に感染拡大。ふたたび時間短縮を要請されても、新たな制度である「事業復活支援金」は受け付けすら始まっておらず、現時点では中小業者への支援策は何もありません。総理は総選挙で「持続化給付金並みの支援」を公約したのに、金額も半分にすぎません。

 緊急の支援策とともに、持続化給付金並みへの増額と、審査の改善、スピードアップに全力をあげるべきではありませんか。

食料支援や毛布を求める切実な声――年末年始に見えたこの国の姿

 私は年末、都内で行われた相談会で、明日の食事にも事欠く人たちから深刻な相談を受けました。

 年末年始に行われた「女性による女性のための相談会」にも、4日間で延べ400人の女性たちが、相談や物資の配給を求めて参加しました。大阪でシングルマザーへの宅配支援をつづけている団体が、毛布の配布を始めたら、「ずっと子ども用の小さな毛布を使っている」「ずっと使っていてカビだらけ。毛布がほしい」と、切実な声が寄せられたそうです。寒空のなか、小さな毛布にくるまって、親子で肩寄せ温め合う世帯が存在する。それが今のこの国の姿です。

制度の不備を認めるならただちに是正を

 ところが子どもへの支援金は、昨年9月以降にDVなどで避難した方や、離婚したシングルマザーには届いていません。総理は、制度の不備を認めました。ならば、自治体まかせにせず、国の責任でただちに是正すべきではありませんか。

 政府は個人向けの10万円の給付金があると言いますが、対象は非課税世帯に限られ、非正規雇用で仕事を失った課税世帯には、いくら収入が減っていても届きません。

 緊急支援のため、10万円給付の対象を大幅に拡大すべきではありませんか。

感染抑制と社会経済活動の両立へ――カギはワクチンと検査、保健所や地域医療への緊急支援

 感染力の強いオミクロン株に対して、感染抑制と社会経済活動の両立を図るためにカギを握るのがワクチンと検査、そして保健所や地域医療機関への緊急支援です。

 しかし、ワクチンの3回目接種は遅れに遅れています。接種の6カ月後から抗体価は下がるとされており、政府が当初、3回目接種を原則8カ月後としたことには、医学的根拠がなかったことを認めますか。このままでは第6波のピーク前の感染抑制には、到底間に合わないのではありませんか。

 検査の拡充も待ったなしです。

 医療や介護、教育、保育の現場などでの感染拡大を防ぐためにも、国の責任で頻回の無料定期検査の計画を立てて実行すべきではありませんか。

 現在のPCR検査能力は1日約38万件ですが、これを大幅に拡充し、「いつでも、誰でも、無料で」検査できるようにするとともに、当面、抗原検査キットを家庭や職場に無料配布すべきではありませんか。

 感染の急拡大によって、保健所の業務もひっ迫しています。自治体任せにせず、緊急の体制強化を行うとともに、恒常的に保健所の数と人員を増やしていくことを明確にすべきではないでしょうか。

水際対策に米軍基地の大穴――日米地位協定を抜本改定し国内法を適用せよ

 総理が「G7(主要7カ国)で最も厳しい水準」と胸を張る水際対策には、米軍基地という「大穴」が開いていました。

 昨年9月以降、米軍は出国前と入国直後のPCR検査を取りやめ、行動制限期間中も基地内を自由に動き回れる状態でした。政府は今回の感染拡大後に米側に照会して明らかになったと説明していますが、米国政府は日本政府に何の連絡もせずに、勝手に水際対策を緩めていたということですか。

 沖縄県の玉城デニー知事は、米本国等からの移動停止や基地からの外出禁止などを昨年から何度も政府に要請していたにもかかわらず、日本政府は「日米同盟の抑止力を毀損(きそん)する」として入国停止を拒否し、外出制限を米側に要請したのは年明けになってからでした。市中への感染拡大を防ぐために一刻も早い対応が必要だったにもかかわらず、あまりにも遅すぎたのではありませんか。

 日米地位協定では、在日米軍は入管法の適用外になっており、検疫は米軍まかせで、日本側は関与できません。独立国にあるまじき、主権の侵害ではありませんか。

 日本政府の権限の下で出入国管理と検疫を実施できるように日米地位協定を抜本改定し、国内法を適用すべきです。ドイツなど、他の米国の同盟国でやっていることが、なぜ日本ではできないのですか。

祖国復帰50年の沖縄――今も県民は米軍基地に苦しんでいる

 沖縄は5月15日、祖国に復帰して50年の節目を迎えます。沖縄返還協定が国会で審議されていた1971年、当時の屋良朝苗琉球政府主席の下でまとめられた「復帰措置に関する建議書」にはこう書かれています。

 「異民族による軍事優先政策の下で、政治的諸権利がいちじるしく制限され、基本的人権すら侵害されてきたことは枚挙にいとまありません」

 「基地あるがゆえに起るさまざまの被害公害や、とり返しのつかない多くの悲劇等を経験している県民は、復帰に当っては、やはり従来通りの基地の島としてではなく、基地のない平和の島としての復帰を強く望んでおります」

 そして今も、この県民の苦しみは続いているのです。

国際法違反の普天間基地は無条件で返還を求めよ

 96年の橋本・モンデール会談から四半世紀。いまだに普天間基地の返還が実現しないのは、復帰にかけた県民の願いに背き、将来にわたって沖縄に基地をしばりつける、辺野古への新基地建設を条件としてきたからではありませんか。

 米軍占領下で、住民の土地を奪って構築した国際法違反の基地は、無条件で返還することを米国に求めるのが、沖縄県民に対する政府の責任ではありませんか。

 鹿児島県・馬毛島の米軍・自衛隊基地化も、種子島住民に耐えがたい被害をもたらします。西之表市長をはじめ、地元の同意は得られておらず、建設を強行することは断じて許されません。基地建設は中止すべきではありませんか。

不公平な分配、格差と貧困の拡大は新自由主義が生んだ弊害

 総理は施政方針演説で「経済再生の要は、『新しい資本主義』の実現」と述べ、「公平な分配が行われず生じた、格差や貧困の拡大」などの問題をあげ、「新自由主義的な考え方が生んださまざまな弊害」を乗り越えると意気込みました。

 しかし、公平な分配が行われなかったのは、自然現象ではありません。総理は、これまでの政策のどこに、どのような問題があったと認識しているのですか。

労働法制の規制緩和で、ワーキングプアが激増――なぜ雇用の規制緩和を改めないのか

 「格差や貧困」を広げたのが、労働法制の規制緩和であることに疑いの余地はありません。不安定な非正規雇用が4割を占め、ワーキングプアを激増させました。ところが、施政方針演説には、「非正規雇用の是正」も、「雇用」という言葉すらも、一言もありませんでした。「新自由主義が生んだ弊害を乗り越える」といいながら、新自由主義の申し子とも言うべき、雇用の規制緩和路線をなぜ改めようとしないのですか。

年金削減の仕組みを見直し、「減らない年金」に改革すべきだ

 年金、医療、介護など社会保障の負担増・給付削減も、貧困と格差を広げました。しかし、来年度予算案には、75歳以上の窓口負担の10月からの2倍化とともに、年金のさらなる削減が盛り込まれています。

 きょう発表された来年度の年金減額は、安倍政権が導入した賃金マイナススライドによるもので、2020年度の実質賃金が、消費税増税やコロナの影響で下がったからとされています。しかし、この間、食料品や灯油などの価格は上がり続けています。生活必需品の価格が高騰するさなかに年金を減額するのは、生活実態を無視するものではありませんか。さらに、公的年金は高齢化が進む多くの道府県で、県民所得と家計消費を支える土台となっており、その削減はコロナ危機にあえぐ地域経済に追い打ちをかけると考えませんか。

 物価が上がるのに年金は下げる。この現行の年金スライドの仕組みは、生活の実態も、経済の動向も反映しない欠陥制度であることは明らかです。削減ありきで国民を苦しめる仕組みを見直し、「減らない年金」に改革すべきではありませんか。

消費税創設とその相次ぐ増税は、税制における新自由主義が生んだ最大の弊害

 消費税の相次ぐ増税の一方、大企業や大富豪への減税で格差と貧困を広げたことも、「新自由主義的な考え方による弊害」そのものです。

 消費税の創設とその後の相次ぐ増税で実質賃金が低下し、家計消費が冷え込んだ結果、景気が悪化するという悪循環が続きました。消費税は、税制における新自由主義の大きな弊害ではありませんか。消費税減税でこの悪循環を断ち切るべきではありませんか。

 中小零細業者やフリーランスを苦しめるインボイス(適格請求書)制度の導入も、中止すべきです。答弁を求めます。

新自由主義の政策によって農林漁業と農村の疲弊

 新自由主義の農政によって、農林漁業と農村も疲弊しています。農家も農地も減り続け、生産基盤の弱体化は、TPP(環太平洋連携協定)、EPA(経済連携協定)など輸入自由化でいっそう加速されています。

 施政方針演説で総理は農林水産物の輸出について力説しましたが、戦後最低の37%に低下した食料自給率には一言も触れませんでした。閣議で決めた食料自給率45%の目標をどのように達成するのか、答弁を求めます。

新自由主義によって、日本経済は弱くもろいものに――「やさしく強い経済」の実現を

 まともな雇用を破壊し、社会保障を貧しくし、不公平な税制を広げ、地域を支えてきた農業を破壊してきたのが「新自由主義」です。強いものがより強くなれば、経済も強くなるという「新自由主義」の政策によって、日本経済は逆に弱く、もろいものになり、日本社会を冷たいものにしてしまいました。

 なんでも自己責任、弱肉強食の新自由主義を終わらせて、「やさしく強い経済」を実現しなければなりません。そのために総理が真っ先に行うべきことは、「アベノミクス」への反省と抜本的転換ではありませんか。

男女賃金格差の是正へ、企業に実態把握と公表を義務付けよ

 総理は、「男女の賃金格差も大きなテーマ」とし、「是正に向け、企業の開示ルールを見直す」と述べました。年間240万円にのぼる男女の賃金格差を是正すれば、そのこと自体が大きな賃上げになるし、賃金の平等はジェンダー平等社会の土台中の土台にもなります。

 昨日、総理はわが党の志位委員長の質問に、「男女の賃金格差については、その是正に向けて、有価証券報告書の開示項目にする」と答弁しました。これは一歩前進です。女性活躍推進法でも、男女賃金格差の把握と公表を義務づけるべきです。さらなる答弁を求めます。

ハラスメントは人権侵害――ジェンダー平等へ禁止を法律に明記し、条約の早期批准を

 職場におけるジェンダー平等実現のために、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメントの根絶もきわめて重要です。

 2019年6月のILO(国際労働機関)総会で、ハラスメント禁止条約が採択された時には、日本政府も賛成しましたが、いまだに批准していません。国内法でも、日本は、先進国で唯一ハラスメント行為の禁止規定がない国になっています。

 「連合」の調査によれば、「職場でパワハラの内容・方針の明確化や周知・啓発に関して何も行われていない」とこたえた方が40%、32・4%が「職場でハラスメントを受けたことがある」と回答しており、事態は深刻です。

 総理には、職場でのセクハラ・パワハラが、被害者の心身に重大な打撃を与える人権侵害であり、ただちに是正すべきという認識はありますか。一日も早くハラスメント禁止条約を批准し、法律にもハラスメント禁止を明記すべきではありませんか。

国交省の統計不正は組織的隠ぺい――繰り返された改ざん・虚偽答弁の体質にメスを

 国土交通省による統計の不正が、2020年1月に会計検査院から指摘された後も、国交省は改ざんと二重計上を続けていました。組織ぐるみの意図的な隠ぺい、改ざん行為であったことを認めますか。二重計上によって建設業者の受注実績がどれだけ過大になり、GDP(国内総生産)にどのような影響を与えたのか、再計算と検証が必要ではありませんか。

 公文書や統計は民主主義の基礎であり、国民のための「公共財」です。ところが、安倍政権以来、「桜を見る会」の名簿はシュレッダーにかけられ、森友疑惑でも公文書改ざん、虚偽答弁が繰り返されました。こうした異常な体質に徹底的にメスを入れ、ウミを出しきるべきではありませんか。答弁を求めます。

核兵器禁止条約参加を求める――唯一の戦争被爆国の政府、被爆地出身の首相としての責務

 核兵器の製造や保有などを禁じた核兵器禁止条約が発効してから、明日で1年になります。日本世論調査会による昨年夏の調査で、禁止条約に日本が「参加するべきだ」と答えた人が71%、締約国会議にオブザーバーとして「出席するべきだ」とした人は85%にも上っています。

 しかし総理は施政方針演説で「被爆地広島出身の総理大臣として」「勇気を持って『核兵器のない世界』を追求していきます」と述べながら、またもや広島の悲願である核兵器禁止条約について一言も触れませんでした。

 総理は、まずは米国との信頼をといいますが、米国のバイデン政権が検討しているとされる「核先制不使用」宣言に対し、なぜこれを妨害する態度をとるのですか。

 広島に本社をおく中国新聞は社説で、「期待されるのが、『唯一の戦争被爆国』を掲げ、保有国との『橋渡し役』をうたう日本政府の役割である」「ところが、禁止条約には背を向け、米バイデン政権が検討していた『核の先制不使用』政策に懸念を示す。『核の傘』依存の姿勢が、むしろ強まっているように見える」と書きました。

 総理は地元のこうした声にどう答えるのですか。

 核兵器禁止条約の締約国会議に、NATO(北大西洋条約機構)加盟国のドイツとノルウェーがオブザーバー参加を表明する中で、なぜオブザーバー参加すらしないのですか。これでどうして核なき世界実現への橋渡しができるのですか。

 核兵器の非人道性を国際社会に訴え、核兵器禁止条約に参加して、世界の国々や市民とともに、核兵器国に核廃絶を迫ることこそ、唯一の戦争被爆国の政府として、そして被爆地出身の首相としての責務ではありませんか。

 総理の明確な答弁を求めて、質問を終わります。


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